うつ病、ひきこもりが多い?自己愛性パーソナリティ障害

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うつ病、ひきこもりが多い?自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害の人が受診するきっかけで、最も多いのは「うつ・ひきこもり・DV」の3つです。

激しく怒ること自体は、患者本人の受診には結びつきにくいのですが、家庭内暴力(DV)という形で受診のきっかけとなることがあります。

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キレやすい?自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害の人にとって、万能の自分がうまく働いているときには、家族などまわりの人が多少苦労しても本人はまったく問題を感じません。

しかし、ちょっとした失敗や挫折がきっかけで、自分の万能感が破れてうまくいかなくなると、最初に激しい怒りとなって現れます。

「キレる」というのがピッタリの状態で、暴言を吐いたり、暴力をふるうことも多く見られます

暴言や暴力(DV)の症状も

自己愛性パーソナリティ障害の人が、周囲から批判されたときや失敗を指摘されたとき、あるいは本人が「見下された」「負けた」と感じたときには、強い怒りを表します。

家族や恋人など周りの人に怒る

大声を出したり、暴れてものを壊すなど、常識はずれな激しさで、怒りを爆発させます。

家庭内暴力にも結びつきやすい

暴言だけではく、暴力もしばしば見られます。多くは家族に暴力をふるうことになります。

うつ・ひきこもりにつながる

自己愛性パーソナリティ障害の人は、もともと周囲の人との信頼関係がほとんどないため、怒りを爆発させると孤立し、うつ状態や引きこもりにつながります。

うつ状態は受診のきっかけに

自己愛性パーソナリティ障害で多く見られるのが、強いうつ状態です。

なんでもできる、という万能な自分から、取り柄のない自分へ転落して、気分が沈み込み、落ち込んでしまうのです。

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自己愛性パーソナリティ障害において、強いうつ状態は、要因への受診を思いたつ動機やきっかけとしても最も多いものです。

ひきこもり・ニートが多い、自己愛性パーソナリティ障害

最近では、統合失調症などの原因のない「社会的ひきこも・りニート(Not in Employment, Education or Training)のほとんどが、自己愛性パーソナリティ障害であるといわれています。

また、ひきこもりの期間中に、しばしば強迫症状が見られます。

この強迫症状は、自分の身のまわりの秩序を徹底し、自分の完全さを実感しようとしていると考えられます。

自己愛性パーソナリティ障害はうつ病と間違われやすい

自己愛性パーソナリティ障害に人が落ち込んでいる状態は、うつ病とも間違われます。

「自分はだめだ」と全否定しますが、その理由はうつ病とは違います。

自己愛性パーソナリティ障害の場合、うつ病の治療では効果がありませんが、物事が自分に有利に進み始めると、うつ状態が自然に解消することもあります。

ひきこもることで自分を守る

引きこもることで、摩擦を避け、取り柄のない自分への落ち込みを防ぎます。

引きこもった世界で万能感を取り戻すために、ルールにこだわったり、家族に高圧的に接することもあります。

自己愛性パーソナリティ障害とうつ病との違い

自己愛性パーソナリティ障害とうつ病には、次のような違いがあります。

うつ病の特徴

【うつになる前の性格】
・責任感が強い
・きちょうめん
・気配りする
・律儀
・きまじめ

【攻撃の対象】
・自分(自責的)
・「何もかも自分が悪い」と自分を責める

自己愛性パーソナリティ障害の特徴

【うつになる前の性格】
・自己中心的
・尊大
・他人を見下す(他人の痛みに鈍感)
・他人をモノのように扱う

【攻撃の対象】
・他責傾向が強い
・「周囲が自分を理解していない」とまわりの人を責める

◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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