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【アスペルガー】心の理論を理解することが難しい

アスペルガー症候群の子は、「他人と自分は違う考えを持っている」ということを十分に理解できません。

心の理論を参考にして考えてみましょう。

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心の理論とは?

「心の理論」とは、他人の意図を理解する能力です。

この能力は脳の前頭葉にあると考えられており、通常4歳頃には獲得されます。

そのおかげで他人がどのように考え、行動するのかが推測できるようになるのです。

しかし、アスペルガー症候群の子どもはこの心の理論の発達が十分でないことがわかっています。

心の理論の具体例

例えば、宝石店に泥棒が入ったとします。

まんまと宝石を盗んだ泥棒は、その帰り道、反抗に使った手袋がないことに気づきます。

そこへ警官が近寄ってきて「手袋を落としましたよ」と泥棒に声をかけます。

警官は、単に落とした手袋を渡そうとしただけなのに、泥棒はあわてて「すみません、私が宝石を盗みました」と白状します。

このとき、アスペルガー症候群の子ははぜ白状したのかがわからず、泥棒の気持ちを理解することが困難です。

警官に声をかけられた泥棒のあせりやその言動が理解できないのは、心の理論が獲得できないためです。

心の理論を知るための「サリーとアンの課題」

①サリーは人形をタンスにしまい、庭に行く
②アンはタンスからサリーの人形を出して遊ぶ
③アンは人形に飽きて自分のカゴにしまう
④サリーが庭から戻り、人形を遊ぼうとする

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【質問】
サリーはどこを探す?

【4歳未満の子どもやアスペルガー症候群の場合】
「サリーはカゴの中を探す」

【4歳以上の場合】
「サリーはタンスの引き出しを探す

前頭葉の障害が原因?

「心の理論」の獲得は脳の前頭葉の発達と関わっていて、通常4歳頃には理解できるようになります。

心の理論がわかるおかげで、他人がどのように行動するかを推測できるようになるのです。

しかし、前頭葉に発達障害のあるアスペルガー症候群の子どもは、心の理論がうまく理解できないことが多いのです。

脳の研究からわかるアスペルガー症候群

近年、脳の画像検査器機は大きな進歩を見せ、アスペルガー症候群の脳の機能についてもさまざまな研究が行われています。

脳の検査には、電磁波を用いて脳の構造を調べるMRI(磁気共鳴画像診断装置)や、放射線を用いて脳の代謝や血流の状態を調べるPET(陽電子放射断層撮影)などが用いられます。

アスペルガー症候群の場合、MRI検査では、成長するにつれて小脳の割合が大きくなっていることがわかりました。

また、前頭葉や小脳の皮膚の容積が小さいことも指摘されています。

さらに、PET検査では、「心の理論」の課題に取り組むとき、通常とは異なった脳の部位を使っていることや、意識を司ると考えられている右脳の「前帯状回」という部分の働きがよくないことも示唆されています。

人の表情を読みとるときに、側頭用の「紡錘回」の血流の増加の程度がやや低いこともわかりました。

今後、脳の仕組みや働き方の研究が進み、やがては診断や対処法の一助となることが期待されています。

◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授の榊原洋一執筆・監修「ササッとわかるアスペルガー症候群との接し方(講談社)」の内容を元に、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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