アスペルガーには時間が守れない遅刻癖も?時間感覚への対処法

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アスペルガーには時間が守れない遅刻癖も?時間感覚への対処法

アスペルガー症候群の子は、特有の感覚を持って暮らしていますが、時間についても独特の感覚を持っていることがわかっています。

アスペルガー特有の時間感覚が原因となり、次のような問題が起こりやすくなっています。

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・時間が守れない
・遅刻癖
・遅刻魔
・時間管理が苦手
・時間にルーズ

アスペルガーの人は時間が守れない?

私たちの時間感覚は、現在を基点に、過去や未来のことを考えます。

過去のことを思い出すことはできますが、その印象は現在よりは薄く、今とは違う時間であることを認識しています。

一般的な時間の感覚では、時間は止まらずに流れ、直線でつながっているのは当然のことと感じています。

しかし、アスペルガー症候群の子どもにはこうした時間の連続性が時々途切れることがあります。

その結果、アスペルガーの人は時間が守れない、遅刻する、という問題を起こしてしまうことになるのです。

なぜ、アスペルガーは時間管理ができないのか?

アスペルガー症候群の人が時間管理ができないのは、記憶の関わる脳の「辺縁系」という部分の働きに違いがあることと関係があると考えられています。

例えば、家族みんなで今夜の夕食について話しているとき、アスペルガー症候群の人は、突然何年も前に行ったキャンプのことを話し出すなどして驚かせたりします。

このときアスペルガー症候群の子どもの頭の中では、過去のキャンプの情景が現在のことのように現実感を伴って意識にのぼっているのです。

「タイムスリップ」とも呼ばれるこの時間の感覚は、アスペルガー症候群の大きな特徴です。

過去と現在を同じに感じる「タイムスリップ」とは?

過去、現在、未来、と時間は一直線上につながっているのが通常の感覚です。

ですが、アスペルガー症候群の場合、時間は過去から順番につながっているという感覚が弱いものです。

記憶に関わる脳の「辺縁系」の働きに違いがあることと関係しています。

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時間の感覚を身につけ、時間管理できるようになるために

アスペルガー症候群の子は、その特有の知覚のせいで時間の管理がうまくできないことがあります。

アスペルガー症候群の人がちゃんと時間管理できるようになるためには、どういった対処法が効果があるのでしょうか。

実は、意外に単純なことのようですが、アスペルガー症候群の子どもに時計の見方をきちんと覚えさせることが、時間感覚を身につける上での第一歩となります。

アスペルガー症候群の人は、過去から現在、未来へと、時間の経過を追うのが苦手なので、あとどれくらいの時間が残されているのかといった判断を誤りやすいのです。

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さらに、時間に制約があるとより強いプレッシャーを感じてしまいます。

アスペルガー症候群の人に時間の経過を追うことを覚えさせるには、時計の見方をしっかり覚えさせることが大切です。

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時間が守れない場合、まずは時計の見方を教える

当たり前のようにも思えますが、アスペルガー症候群の子どもの中には、時計の見方をきちんと覚えられない子が案外多いのです。

時計が流れていることを意識させるためには、デジタル表示の時計よりも長針・短針・秒針のついたアナログ時計を使って視覚的に示した方がよいでしょう。

タイマーを用いて「何時になったら何をする」という練習を重ね、時間を気にかけることを意識させ、その感覚を養っていきます。

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アナログ時計を使って時間の経過を理解させる

時間の流れをしっかり理解させるには、アナログ時計の見方をしっかり覚えるのが効果的です。アスペルガー症候群の子どもの中には、時計の見方をきちんと覚えられない子が多いのです。

アナログ時計は、デジタル時計に比べて時間の経過を視覚的にとらえやすいため、アスペルガー症候群の子にはより分かりやすいのです。

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タイマーを使って時間を気にかける練習をする

予定の行動を決め、タイマーをセット

時間になるとタイマーが鳴る

予定していた行動をとる

時間を気にかけることを意識する

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◆この記事は、元東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学大学院教授の榊原洋一執筆・監修「ササッとわかるアスペルガー症候群との接し方(講談社)」の内容を元に、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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