非定型抗精神病薬の作用と副作用、薬の種類について|統合失調症

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非定型抗精神病薬の作用と副作用、薬の種類について|統合失調症

抗精神病薬は2種類に分けられ、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬があります。

定型抗精神病薬がドーパミンに作用するのに対し、非定型抗精神病薬はセロトニンなどにも作用することで、運動系の副作用が少なくなるように工夫されて開発されています。

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今回は、非定型抗精神病薬の種類や効果、作用と副作用についてまとめてみたいと思います。

→定型抗精神病薬についてはこちらの記事で

→抗精神病薬、定型と非定型の違いについて

非定型抗精神病薬の種類について

非定型抗精神病薬は副作用が比較的少ないのが特徴で、大きく次の3つに分けることができます。

・SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)
・MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)
・DSS(ドーパミン系安定薬)

それぞれの薬の種類や効果、作用と副作用について詳しく見てみましょう。

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)

非定型抗精神病薬であるSDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)は、ドーパミンだけでなくセロトニンにも作用し、運動系の副作用を軽くする効果もあります。

また、統合失調症の陰性症状やうつ状態の改善効果にも期待されている薬です。

SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)は、主に次のような薬の種類があります。

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・リスペリドン(商品名リスパダール)
・ペロスピロン(商品名ルーラン)
・ブロナンセリン(商品名ロナセン)

リスペリドンには効果が2週間持続するデポ剤(商品名リスパダールコンスタ)や、口の中ですぐに溶けて飲みやすい口腔内崩壊錠(商品名リスパダールOD錠)もあります。

定型抗精神病薬と比べると、SDAは運動系の副作用は少ないですが、次のMARTAやDSSと比べるとやや副作用があらわれやすい傾向があり、副作用止めのために抵パーキンソン薬が処方される場合もあります。

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)は、ドーパミンやセロトニンに加え、アセチルコリン、ヒスタミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質に作用します。

MARTA(多元受容体作用抗精神病薬)には次のような薬が代表的です。

・オランザピン(商品名ジプレキサ)
・クエチアピン(商品名セロクエル)
・クロザピン(商品名クロザリル)

MARTAは運動系副作用が少なく、抗パーキンソン薬を併用する必要はほとんどありません。

ですが、体重増加や脂質異常、糖尿病など代謝系の副作用があらわれやすい傾向があります。

DSS(ドーパミン系安定薬)

DSS(ドーパミン系安定薬)は、ドーパミンに作用して、ドーパミン過剰なところでは抑制し、ドーパミンが少ないところでは作用を強くする効果があります。

DSS(ドーパミン系安定薬)はドーパミンの部分作動薬(パーシャルアゴニスト)ともいわれ、アリピプラゾール(商品名エビリファイ)があり、統合失調症の陽性症状と陰性症状の両方を改善する効果が期待されています。

アリピプラゾールは、躁うつ病やうつ病に対しても効果があります。

運動系の副作用は少ないのですが、不眠症状や焦燥感、胃腸症状などの副作用があらわれやすい傾向がみられます。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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