統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方と方法、留意点について

統合失調症では、本人にとって身近な存在である家族が本人とどんなコミュニケーションをとるのか、どんな接し方をするのか、が病状に大きく影響してきます。

そのため、統合失調症のリハビリテーションプログラムには「家族SST(家族心理教育)」があり、家族が統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方を学ぶことができます。

同じ出来事を経験していても、感じ方や受け取り方はその人によって様々です。

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物事の受け取り方や感じ方の違いを「認知のゆがみ・くせ」と呼び、この認知の歪みが原因となり誤解や行き違いが生まれてしまいます。

ですので、相手がどういう気持ちで言ったのか、質問して
確認したりすることもときには大切になります。

統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方と方法、留意点について

統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方において、重要なポイントは次の4つあります。

①傾聴する
②相手の感情を受け入れる
③上手に依頼する
④否定的感情を上手に伝える

4つのポイントについて、それぞれ少し詳しくみてみましょう。

①傾聴のポイント

傾聴とは、じっくりと相手の話を聞くことです。

統合失調症の患者本人が、自分の悩みや病気に関係することを話し出したときは、その話に耳を傾けてよく聞くようにしましょう。

できるだけ話をさえぎらないように聞き、内容について否定したり批判したくなったとしても、我慢するようにしましょう。

また、傾聴コミュニケーションの際の座る位置については、相手とほどよい距離を保つこと、相手の方をよく見ること、うなづきやあいづちを打つこと、笑顔や柔らかい表情で話を聞くことも重要ポイントになります。

②相手の感情を受容する

統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方では、本人の気持ちを受容する対応が大切になります。

家族にとってみれば賛成できなかったり理不尽と思うようなことを本人が言っていても、それを否定するのではなく「なるほどね。そういう風に考えているのね」というように、まずは本人の思いや考えを受容することが大切です。

そして、統合失調症の人が考えている内容を家族も一緒に共有することで、理不尽な内容であれば本人が自分で気づくこともあります。

また、統合失調症の人の感情や気持ちを家族が受容することで良好な関係になり、家族からの否定的な意見に対しても心を開きやすくなります。

逆に、家族がすぐに反論したり否定するコミュニケーションでは、統合失調症の本人も心を閉ざしてしまい、聞く耳を持たなくなってしまうおそれがあるので注意しましょう。

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③上手に依頼する

統合失調症の人の何かを依頼するときのポイントは「具体的なことをひとつだけ依頼する」ことです。

統合失調症の人とのコミュニケーションでは、わかりやすく伝えることが重要になります。

病気の影響で認知機能が障害されていると、あいまいで抽象的な表現や複数のことを指示されると混乱してしまいやすいのです。

例えば「掃除を手伝って」という言い方よりも、「机の上の本を本棚に片付けて」というように具体的な伝え方がポイントです。

また、統合失調症の人に何か頼みごとをしても「できない」「無理」と拒否された場合には、「そんなことでは病気もよjくならない」とあせらせない対応も大切になります。

家族としては、病気の状態がまだあまり改善していないか、依頼内容が難しかったのでは、と考えるとよいでしょう。

④否定的感情を上手に伝える

統合失調症の人に対して、家族として時には自分の意見や不満を伝えることが必要になることもあります。

病気だからと言って何でもやってあげたり、構いすぎて過保護になる対応はあまり良いとは言えません。

統合失調症の人とのコミュニケーションにおいて、家族が反論や異論の意見を伝える時は「あなたは」という表現ではなく、「私は〜と思う」とい言い方がポイントです。

例えば「あなたは寝てばかりいるのね。自分の部屋の片付けくらいしてよ」ではなく「自分の部屋の片付けをしてくれるとお母さんは嬉しいな」という言い方の方が望ましいといえます。

「あなたは」という表現だと命令や批判的な言い方になってしまいますが、「私は」と言い方だとうれしい、つらい、残念といったこちらの感情を伝えやすくなります。

伝えるときの表情も、できるだけやわらかい表情で、笑顔を心がけるようにしましょう。

統合失調症の人に対する否定的な感情を家族が口に出さず、表情や態度で示されることの方が、本人にとってはずっとつらいことなのです。

決して統合失調症の人を責めるわけではなく、「病気を改善するために」というメッセージを伝えるために、否定的感情を上手に伝えることが大切です。

まとめ|統合失調症の人とのコミュニケーションの取り方と方法、留意点について

・傾聴コミュニケーションでゆっくりと話を聞く
・相手の感情や気持ち、考えを受容する
・上手に依頼や頼みごとをする
・否定的感情を上手に伝える

統合失調症の人への接し方、コミュニケーションにおいて、これらの4つのことを意識しながら対応することを心がけるとよいでしょう。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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