自閉症のはっきりとした原因はまだ現在の医学では解明されておらず、よくわかっていないのが現状です。

ただ、生まれつき、脳の働きにおいて機能障害があることが自閉症と関係しており、脳機能の障害に関しては複数の遺伝子の変異が関わっていると考えられています。

自閉症の原因は父親or母親の遺伝子?

「自閉症の発症原因は父親だ!」「いや、母親が原因だ!」などと言われることがありますが、実際どうなのでしょうか。

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人間は約2万2000個の遺伝子を持っていて、そのうちの10個から20個くらいが自閉症の発症と関係しているのではないか、と考えられています。

ただし、ひとつの遺伝子変異が特定の症状の原因になる、ということではなく、複数の遺伝子異常の偶然の重なりによって、自閉症にあらわれる様々な症状を引き起こしていると考えるのが妥当です。

自閉症には遺伝子の変異が関係している、となると、父親の遺伝子が原因なのか、母親の遺伝子が原因なのか、と気になる人もいると思います。

父親の年齢が40歳以上になると子どもの自閉症リスクが高くなる、女性の高齢出産は自閉症リスクが高い、などと言われることもありますが、父親または母親のどちらかが子どもの自閉症の原因になる、ということははっきりいってわかりません。

ただし、遺伝子の変異、つまり遺伝子のコピーミスが、自閉症の発症に関係しているのではないか、と考えられていることから、父親も母親も、過剰なストレスや過労、過度な喫煙やアルコール摂取は控え、健康的な身体であることを心がけることが大切といえます。

自閉症と脳の働きとの関係は?

医学や脳科学の進歩もあり、脳機能の観点から自閉症を解明しようとする研究も進んできています。

自閉症の場合、次のような脳の部位が関係していると考えられています。

①側頭葉
②前頭前野
③扁桃体
④前体状回

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①側頭葉

脳の部位、側頭葉は、相手の顔を見て誰なのかを認識したり、顔の表情からどんな気持ちなのかを想像したりする機能を担っています。

自閉症の場合、この側頭葉の機能が通常の人と比較すると低いという報告があります。そのため、顔を見て誰かを判別したり、表情や気持ちを読み取ることが困難になると考えられます。

②前頭前野

前頭前野は、相手の立場になって考えたり、人の気持ちを理解する機能を担っている脳の部位で、「心の理論」と呼ばれる機能です。また、ワーキングメモリー(作業記憶)の働きも担っています。

自閉症患者の場合、前頭前野の部位の働きも通常の人にくらべると低いといわれており、相手の身になって考えたり、気持ちを想像したりすることが苦手なことに関係しているといえます。また、ワーキングメモリーもうまく働かないため、物事を進めるときの段取りや手順がわからなくなってしまいやすいのです。

③扁桃体

扁桃体は、本能的な恐怖や不安、不快といった情動をコントロールする脳の部位です。

自閉症の場合、この扁桃体の活動があまり活発ではなく、恐怖や不安、不快などの情動のコントロールができなくなり、些細なことで不安になったり、不快な感情から怒り出してしまうことにつながると考えられます。

④前帯状回

前帯状回は、情報を取捨選択する機能「選択的注意」をになっている脳の部位になります。

自閉症の人は、この前帯状回の機能も低下していて、必要な情報に注意を向けれない、不要な情報をカットできずに混乱してしまったりすることがあります。

てんかんとの合併が多い自閉症

自閉症とてんかんの合併は多く、自閉症の子どものうち約15パーセントの割合でてんかん発作を伴うといわれています。発作をおこしたことがない子も含めると、自閉症の約半数に、てんかん特有の脳波異常がみられるようです。

てんかんとは、脳内の神経細胞が異常な興奮状態になり、通常の情報伝達ができなくなってしまう脳の病気の一種です。てんかんの主な症状としては、意識消失、全身けいれん、力が抜ける、など様々な発作があります。

自閉症は脳の病気であるてんかんとの合併も多いことから、自閉症が脳機能障害であると考えられます。

◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかる発達障害の子どもたち(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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