[自閉症の特徴③] 無視する、気づかない、迷子になりやすい、パニックになりやすい

[自閉症の特徴③] 無視する、気づかない、迷子になりやすい、パニックになりやすい

発達障害のひとつ「自閉症」にはいろいろな特徴がみられますが、その中には「無視する・迷子になりやすい・パニックを起こしやすい」という特性も含まれます。

そこで今回は、自閉症の代表的な特徴でもある、①無視する、②迷子になりやすい、③パニックを起こしやすい、の3つの特徴についてポイントをまとめてみたいと思います。

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(1)無視する

自閉症の子どもは、名前を呼ばれたり、声をかけて読んでも振り向かず、無視をする、という特徴がみられることが多い傾向があります。

自閉症の子どもが無視をする原因には、音の聞こえ方が普通の人とは違うため、自分が呼ばれていることに気がつかないことも関係しています。

自閉症の人には「選択的注意の欠如」という特性があり、周囲の多様な情報の中から自分に必要な情報をキャッチし、不要な情報をカットする、というごく普通のことが苦手なのです。

そのため、様々な音が聞こえている中で自分の名前が呼ばれても、その音にだけ注意を向けることができず、その結果「無視をしてしまう」という対応になってしまいがちです。

(2)迷子になりやすい

迷子になりやすいのも、自閉症の子どもによくみられる特徴のひとつです。

自閉症の子どもは親と一緒に外出した際に、はぐれて迷子になってしまうことがよくあります。

自閉症の場合、ワーキングメモリーの働きが弱いため、親とはぐれるとどうなってしまうのか、という状況把握ができず、興味のあるものを見つけると親から離れてそちらに行ってしまい、迷子になってしまうのです。

また、自閉症の子どもは普通の子と違い、親とはぐれて迷子になっても、泣いたり不安がったりすることが少ない場合があります。

気になるものを見つけるとそれだけに熱中してしまい、自分がおかれている状況に関心を持たなくなります。また、自閉症の子どもは親に対する愛着が強くないことも多く、親の姿が見えなくなったり、ひとりぼっちになっても泣かずに平気でいられるのです。

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このようなことから自閉症の子どもが迷子になっていても、泣いたり、親を探したりしないため、周りの人も迷子になっていることに気づかないことも少なくありません。

(3)パニックになりやすい

発達障害の子どもはパニックを起こしやすい傾向がみられます。

自分の感情をコントロールできずパニックを起こしてしまい、大声を出したり、ものを投げたり、頭を壁にゴンゴンぶつけたりする行為がみられます。

自閉症の子どもの場合、感覚過敏が原因となり、些細な音でも非常に不快な音に感じてしまったり、人から触られただけで痛みを感じてしまったりして、パニックを起こしてしまうこともあります。

また、自閉症の子どもはこだわりが強いケースもあり、自分の熱中しているところを邪魔されたり、こだわっている方法を変えられたりすると、パニックに陥ってしまうこともあります。

自閉症のパニックへの対応は?

自閉症の子どもの特性や傾向を把握していれば、どんな状況で不安を感じやすいか、緊張状態になりやすいかが予測でき、パニックを起こしてしまう事態を防ぐことも可能です。

ただし、自閉症の子どもへの理解が低いと、パニックの原因になる緊張や不安を生みやすい状況を知らず知らずのうちにつくってしまうこともあります。実際に自閉症の子がパニックを起こすと「理由もなく突然パニックになった」と周囲の人は感じてしまいます。

自閉症の子どもがパニックを起こすときは、何かの原因があるものです。

子ども本人からよく話を聞いたり、日頃の様子を観察するこtで、パニックを起こす原因が徐々に絞られてくることでしょう。

また、パニックを繰り返し起こしてしまうと、自閉症の子どもの精神状態も不安定になりやすく、さらにパニックになりやすい悪循環に陥ってしまいます。

自閉症の子どもがパニックを起こさないためには、親や周囲の人の配慮や適切な対応が必要不可欠です。

パニックを起こしやすい原因について

①不快な音が聞こえた
例)大きな音が聞こえた、気温が暑すぎる、体を触られたなど

②こだわりを否定された
例)熱中しているところを妨げられた、変更を強いられたなど

③興奮させられた
楽しくてたまらない、うれしすぎて感情のコントロールができなくなった

④我慢の限界になった
じっと座っていることができなくなったなど

◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかる発達障害の子どもたち(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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