パーソナリティ障害は治療で治るの?多い誤解とは?
パーソナリティ障害は、たとえ問題行動が突然起こったように見えても、その根元は深く複雑にからみ合っています。
そのため、治療できない、パーソナリティ障害治らない、と思われがちですが、決してそんなことはありません。
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誤解が多いパーソナリティ障害
パーソナリティ障害は、その仕組みや原因が分かりにくいかわりに、表に見える問題が大きいため、「治らない」などの誤解や「どうしようもない」「どうしてよいかわからない」などのあきらめを招きがちです。
Q.パーソナリティ障害は治らないのでは?
パーソナリティ障害の本人や家族に多い誤解は「もう、治らないのでは?」というものです。
A.パーソナリティ障害は治ります
パーソナリティ障害は、治すことができます。
治療では、過去の原因にこだわらず、本人のつらさ、不自由さに目を向け、どのようにしたら周囲と摩擦を起こさなくなるかを考えていきます。
Q.親の育て方が悪いからパーソナリティ障害になる?
家族は「自分たち親の育て方が悪く、パーソナリティ障害の原因になったのでは」と悩みがちです。
A.パーソナリティは親だけがつくるものではありません
しばしば、家族は育児状の責任を指摘されるのをおそれて受診に積極的になりますが、それはよくありません。
パーソナリティ障害の原因追及にあまり意味がないことは、専門家の常識です。
家族が過去を振り返るより「今、何をすべきか、これからどうするか」を考えることが、本人にも、家族にもプラスになるのです。
Q.親が変われば、子どもも変わるのでは?
「自分たちが変われば子どもも変わる」と親や家族が思い、自分たちでなんとかしようとすることが多く見られます。
A.専門家のガイドが必要です
家族が治療に参加することは、大きなプラスです。
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しかし、自分自身を客観的に見るのは、案外難しいものです。
家族が、患者さんへの接し方をどう変えればよいかには、専門家のガイドが不可欠です。
家族が全員で共通認識を持つことがパーソナリティ障害の治療のスタート
パーソナリティ障害の場合、家族の中でも、特に母親は本人から責められやすく、孤立しやすいという問題があります。
日本では育児が母親に一任されることが多く、父親と母親の間に温度差が生じやすいので、パーソナリティ障害の治療を受けるときには、家族全員で取り組む態勢をつくりましょう。
ひとりで抱え込まない
ふだんの本人の様子を見ていないと、問題が分かりにくいときもあります。
家で起こったことをほかの家族に伝え、家族全員が関わるようにしましょう。
どうせムダ、とあきらめない
「話しても分かってもらえない」と話す前からあきらめていては、何も変わりません。
専門家に相談する
本人に受診の気持ちがないとき、あるいは家族がつらくなったときには、まず家族だけでも専門家に相談し、打開の道を探りましょう。
治すという気持ちが大切
パーソナリティ障害は、家族も本人も「どうしようもない」とあきらめていることが少なくありません。
しかし、適切な治療をおこなえば、自分の気持ちをコントロールできるようになり、社会生活に復帰できます。
治療には、本人の「治そう」と思う気持ちが欠かせません。
本人が「治療を受けてもムダ」だと思っているときは、周囲の人が「治る」とハッキリと伝えることが望まれます。
家族の協力がパーソナリティ障害の治療には必要
問題行動がはげしいときには、家族が巻き込まれて、家族同士が対立していることもあります。
受診をすすめるときには、まず家族が話し合いましょう。
家族が一緒に治療に取り組み「みんなが支える」とパーソナリティ障害の本人に伝わるようにしてください。
◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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