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自己否定、自信のなさが原因?自己愛性パーソナリティ障害の要因
自己愛性パーソナリティ障害は「自分をかたよって愛する障害」であると同時に「自己愛が正しく育たない障害」でもあります。
自己肯定、自信などの内面の強さを育てられなかったことが原因となり、自己愛性パーソナリティ障害になると考えられています。
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二面性がある自己愛性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分が大好きに見えますが、その根底には、実は自分を好きになれない気持ちがあります。
ありのままの自分を受け入れられず、つねに強くなくてはならないと思い込んでいるのです。
この二重構造がつくられる背景には、自己愛性パーソナリティ障害の人はもともとプライドに敏感な傾向があり、それに加えて育った環境の両方が関係すると言われています。
子どもの健全な自尊心(自己肯定感)は、親に受け止められる安心感を基盤にして育ちます。
ところが、他人より優れているときや、親を喜ばせたときしか愛されないと、子どもの中で自己愛が育ちません。
自分の力、価値を認められず、常に周りの目や他人の評価を気にするようになるのです。
愛情がごほうびとして示されることが多い
子どもの自己肯定感を育てるためには、親に共感してもらい、受け止められることが必要です。
親の愛情が条件的にしか与えられないと、子どもは不安を抱えて育ちます。
子どもがよいことをしたときに愛情を示す
親は誰でも、悪いこよりよい子の方が好きです。
しかし、親が常に結果でしか評価しないと、子どもは無条件には愛されないと感じてしまいます。
失敗した子どもは受け入れない
親は、子どもが成功するとほめたたえ、ごほうびを与えます。
ところが、子どもが失敗したときには、無視したり拒絶したり怒りをもって接し、子どもを傷つけます。
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よい子でないと愛されないと感じる
自分は特別な人間だと信じ込むことで、不安を解消しようとします。
甘えや安心感の代わりに、強い自尊心をもつようになります。
自分を信じられない不安から自分を守る
自分には価値がないと感じていると、人は無気力感にさいなまれ、生きていけません。
そこで、子どもは無意識のうちに防衛のためにしくみをつくり出します。
それが万能な自分です。
自己愛性パーソナリティ障害は、自分が他より優れている、他人は自分より劣っていると信じ込み、不安を解消しようとするのです。
万能の自分を思い描き、強い自尊心でそれを守ろうとします。
しかし、心の奥底には強い自己不信と、親から愛されない不安、怒りが隠されています。
自己愛性パーソナリティ障害の考え方
強い自尊心をもっていても、それを自分の内部から支えることができません。
そのため、現実には向き合わず、失敗を無視するようになります。
愛されないという不安、弱い自分が隠れている
強い自尊心の奥底に、そのままでは愛されないという不安があります。
自己愛性パーソナリティ障害は、自分に価値を感じられないために、成績などの外的な基準を満たすことだけを追い求めるようになります。
周囲とのまさつを無視する
自己愛性パーソナリティ障害の人は、まわりの人とうまくいかないときに、自分のやり方を変えるなどの柔軟な対応ができません。
自分の失敗やまさつ、問題をを直視せず、なかったものと思い込んでやり過ごそうとします。
自己責任の自覚がなく、相手が悪いと考える
自己愛性パーソナリティ障害の人は、挫折や失敗を本当の意味で実感しないため、自尊心は強く大きくなる一方です。
強い自尊心は、弱い自分を守ろうとする鎧のようなものです。
子どもの頃に、親との関わりで修正されなかった小さな王様の感覚がふくれあがります。
また、挫折を受け入れないために、自分に責任があるという感覚も育たず、常に周囲が悪いと考えるようになります。
◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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