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自己愛性パーソナリティ障害の原因は、勝ち組競争社会にある?
現在、さまざまなパーソナリティ障害が増加していることは、本人の要因だけでは説明がつきません。
急速に変わる社会のありようが、自己愛性パーソナリティ障害にも深く関係しているのです。
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自己愛性パーソナリティ障害の社会的な原因とは
近年の日本において、社会現象を表す言葉を見ても、「お受験」「3高」など、学歴、偏差値、収入、知名度などを指標に人の価値を計る風潮はいつでもあります。
現代社会は、みなが上へ上へと駆り立てられているのです。
負け組にはなりたくない、勝たなければ、上へ行きたい、勝ち組になりたい、という気持ちが強くなります。
しかし、自分のなかに満足する感覚がないと、最終地点を見つけることはできません。
こういった社会背景も、自己愛性パーソナリティ障害が増加している原因のひとつといえるでしょう。
学校
・成績
・偏差値
・進学、受験
教育の目的として、成績や進学先などを重視する人が増えています。
会社
・一流企業への就職
・収入、昇給
・昇進、役職
終身雇用が崩れ、能力性になりつつあることも、上昇志向に影響すると考えられます。
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社会的ステイタス
・経済力、所有物
・社会的階級
・交友関係
著名人と知り合いであるとか、高級車を持っているといった本来自分とは関係ない要素を、自分の価値の一部と見なす人が増えています。
流行
・ファッション
・スタイル、容姿
自分らしさよりも、他人から見てオシャレか、他人より美しいかを重視します。
成績や勝ち組志向の影響も
自己愛性パーソナリティ障害が増えている背景には、社会全体が人を数字や目に見える基準(外的な価値観)で評価するようになったことが関係しています。
子どもを育てるならよい学校へ、よい企業へという「成績志向」だけではなく、社会全体が「勝ち組」といった優劣を競うムードでいっぱいです。
自分を大切に感じる機会が少ない
みんなが外交的な価値観を重視する社会では、達成感、やりがいといった内面的な価値観を育てるよりも、子どもを「強く、勝てるように」育てたいというのは自然の流れかもしれません。
自己愛性パーソナリティ障害の人の親のほとんどは、子どもへの愛情が希薄だったという自覚はありません。
むしろ、子どもが将来社会で生きることを考え、必要と思われるものを与えたいと言います。
親が無意識のうちに、自分の価値観、欲求を子どもに映し出しているのです。
◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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