目次
ネット依存症を改善するための治療方法「記録法」とは?
ネット依存症を改善し、克服するために「記録法」という治療方法があります。
記録法では、ネット依存症の患者さんは、毎日なにをどのくらいしたか、記録をつけます。
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その記録を診察の際に持参し、医師と確認しながらカウンセリングをおこなっていきます。
記録は患者自身の検討にも、医師との診察にも役立つ治療ツールになります。
医療センターでのネット依存症プログラム
医療センターでは、認知行動療法をベースにした精神療法を中心に、ネット依存症の治療プログラムを作成しています。
これはまだ確定したものではなく、治療効果を見ながら随時内容を改良されていきます。
診察
問診、カウンセリングなど、ネット依存症患者本人がつけた記録をツールとして使用することもある。
レクチャー
ネット依存症のついての理解を深める。家族会などで、医師が講師となっておこなうことが多い。
精神療法
ネット使用の時間を減らすために、何か夢中になれる代替のものを見つける。
【認知行動療法】
問診、集団でのディスカッションなど、ネットとは何かを考えていく。記録法もそのひとつ。
【SST】
社会技能訓練。主に対人コミュニケーションスキルを学ぶ。
【作業療法】
工芸などをおこない、手を動かすことの楽しさを再確認する。
【運動療法】
体力回復や爽快感を得るために、実際に身体を動かす。
入院
昼夜逆転を元に戻すためなど、必要に応じて検討する。
家族会
情報交換や勉強会など、家族への支援という意味もある。
ネット依存症の治療はカウンセリング中心に
ネット依存症の治療は、カウンセリングで進めます。
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その際に、ネット依存症患者本人がつけた毎日の記録を検討します。
すると、本人が思っていた以上にネットに費やす時間が多いことが、実際の数字として見えてくるので、自分でも問題だと理解し、本人なりに目標を立てます。
その努力の結果もまた記録に現れ、ネット依存症を改善するための治療への意欲を保つことができます。
記録法のやり方
毎日の生活を記録し、次回の診察のときに持参します。
パソコンで記録するのが便利ですが、パソコン使用を減らすためにもデジタルよりアナログな方法で、記録は紙に手書きでつける方がいいです。
この記録法は、認知行動療法のひとつです。
【時間】
起床、就寝、食事、入浴など、生活の時間を記録。ネット使用時間がわかる。
【内容】
その時間にしたことを記録。ネットでは何を使用したか、ゲーム名やサイト名も記入。
【感想】
そのつど、忘れないうちに感想を記録。ネットに関すること以外にも、気づいたことを記入。
ディスカッションで検討
診察時に、ネット依存症患者本人の考察を述べ、医師と新たな目標を設定していきます。
この目標時間は人によって違います。
患者本人が治療目標を決め、その目標に近づけたかどうか、記録を見ながら医師とディスカッションして治療をすすめていきます。
(例)
【時間】
確実にゲーム時間は減らせている。完徹で2日続けることはなかった。でもオンラインで過ごす時間はまだ長い。来週はあと30分は減らしたい。
【内容】
用もないのにサイトを見たり、動画を見る時間が長い。ニュースはテレビで見たのと同じだったし、ネットで見る必要はないかも。
【感想】
病院に行き始めてから、お母さんは僕にちゃんと食べろと言う。夕食は食べるようになった。まとめて寝た日は逆に食欲がない。
◆この記事は、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長、精神科医である樋口進先生執筆・監修「ネット依存症のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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