ADHDが学級崩壊の原因になる?[発達障害/注意欠陥多動性障害]

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ADHDが学級崩壊の原因になる?[発達障害/注意欠陥多動性障害]

実は、ADHDという障害が日本で広く知られるようになった背景には、学級崩壊があります。

1990年代後半から、学級崩壊が、新聞やTVなどのメディアでの話題になり、世間の関心や注目度があがってことと関係しています。

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ADHDが学級崩壊の原因になの?

1990年代後半の日本で、学級崩壊が話題になりました。

学級崩壊とは、小学校の教室内で、先生の言うことを聞かずに授業中に騒いだり、歩き回ったりして、授業ができない状況を意味しています。

先生の言うことが聞けない、座っていられない、授業中に教室の中を歩き回る、勝手におしゃべりを始める、といった子供たちがADHDで学級崩壊の真犯人ではないか、と言う人もあらわれたのです。

そのため、ADHDが学級崩壊の真犯人ではないか、と考えられるようになったのです。

本当にADHDの子供が学級崩壊の原因なのでしょうか、もう少し詳しくみてみましょう。

学級崩壊はADHDが原因ではない?

当時にも、ADHDの子供を学級崩壊の犯人にするのはおかしい、という指摘をす専門家もいました。

たしかにADHDの症状には、先生の指示を聞けない・守れない、忘れ物が多い、授業中に歩き回る・走り回る、教室の外へ出て行ってしまう、などがあります。

ADHDの特性を持つ子供の割合は、1クラスに1〜2人の人数がいる、と言われています。

30〜40人のクラスの中で1〜2人のADHDの子供が、授業中に歩き回ることはあります。

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しかし、ADHD以外の子供が授業中に騒いだり、私語をしたり、教室の中を歩き回る行動の責任を、ADHDに押しつけてしまうのは筋違いだと指摘されています。

ADHDの人は昔の時代から存在していた?

日本で発達障害やADHDという障害名が知られるようになってきたのは、1990年後半以後、ここ最近20年程度のことです。

ですが、ADHDという障害が1990年代に急にあらわれて出てきたわけではなく、もっと昔の時代からADHDの特性を持つ人はいたのです。

昔からADHDの子供は一定の割合で存在していたにもかかわらず、最近の学級崩壊の増加とADHDが関係しているのでは、と考えるのは見当違いと思われます。

ADHDの子供は反抗しているわけではない

ADHDで目立つ症状でもある、多動性や衝動性は、ADHDをあまり知らない人からすれば、反応している、困らせようとしている、ととらえられがちです。

しかし、ADHDの子が授業中の教室を歩き回ったり、勝手に発言したりする行為は、意図的にクラスのみんなをあおっているわけではありません。

自分の気持ちを落ち着かせるため、無意識で問題行動をとってしまうのです。

ADHDの二次障害に注意

ADHDの子供は、学校の先生や友達などから誤解を受けやすい性質があります。

反抗的、扱いにくい、怖い、暴力的、自分勝手、などの先入観で判断され、ADHDの障害を理解して受け入れてもらえないこともあります。

ADHDの子が自分の人格を認めてもらえず否定され続けると、反抗挑戦障害や行為障害、うつ病や不登校などの二次障害を引きおこすこともあるので適切な対応が大切です。

◆この記事は、東京都杉並区立済美教育センター指導教授、早稲田大学大学院教育学部教職研究科非常勤講師、月森久江先生執筆・監修「ADHD LDがある子どもを育てる本(講談社)」の内容を元に、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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