統合失調症の再発の共通パターンとは?再発割合と兆候

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統合失調症の再発の共通パターンとは?再発割合と兆候

統合失調症の症状が改善して状態が落ち着いてからも、病気の再発を防ぐためには服薬を続けることが大切です。

薬の量については、主治医に相談しながら必要最小限に調整することが望ましいでしょう。

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また、統合失調症の再発には共通パターンがみられ、再発するまでに決まったパターンがあると言われています。

そこで今回は、統合失調症の再発のパターンと抗精神病薬の量について書いてみたいと思います。

服薬を中断すると8割が統合失調症を再発する

妄想、幻覚、幻聴などの統合失調症の陽性症状が回復するとともに、一般的に抗精神病薬の量は減っていきます。

ですが、統合失調症という病気は薬を飲むことで完全に治るような病気ではなく、根本的に治すことができるわけではないのです。

薬を飲み続けることをやめて、服薬を中断すると、1年以内に60〜80%の割合で統合失調症を再発すると言われています。

再発予防のためには、良好な状態を保つために必要な量の薬を飲み続ける必要があります。

薬の使用をやめて病気がさ初するケースでは、次のようなだいたい決まった共通のパターンがあります。

統合失調症を再発する兆候、共通のパターンは?

統合失調症の激しい症状が改善して、病気が回復してくると、患者本人は、学校に行く、会社に行って仕事をするなど、通常の生活=社会復帰を目指すようになります。

ですが、ほとんどの統合失調症の患者は、認知機能障害や陰性症状が残り、また薬の副作用の影響もあって、病気になる前の状態のようには頭や体が思うように働きません。

「薬の副作用がなければもっと頭も働くし、体も動くはず」と思うようになり、統合失調症の患者本人が自分で「ちょっと薬を飲むのをやめてみよう」という流れになります。

服薬を数回やめたところで、何も悪い変化はありませんし、逆に副作用がなくなり、調子がよくなったように感じることもあるでしょう。

そうして「薬を飲まなくても大丈夫」「薬を飲まないほうが調子がいい」という気持ちが強くなり、さらに薬を飲まなくなってしまいます。

その後、6ヶ月経過したころから病気の再発が始まりだします。

再発の兆候があらわれると、自分が統合失調症という病気であることを否定する傾向が強くあらわれる、といのが一般的な傾向です。

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そして、薬をまったく飲まなくなった状態で学校や仕事に復帰して、多くのストレスを受けた結果、幻覚や妄想などの症状が再発するのです。

服薬の継続も薬の量は必要最小限に

ほとんどの統合失調症患者は、継続して抗精神病薬を服用する必要がありますが、薬の量は必要最小限であることが望まれます。

薬の量が多ければ、それだけ効果もある、ということではありません。

薬の量や種類が増えれば増えるほど、医療費が高額になるだけでなく、副作用のリスクも高くなります。

薬の量や種類に疑問を感じた場合には、主治医に質問するようにしましょう。

医師の説明に納得ができない場合には、セカンドオピニオンを求めることもできます。

多剤大量療法とは?薬の量が多い日本の医療現場

複数の薬の種類を組み合わせて処方することを「多剤大量療法」といいます。

アメリカやイギリスなど海外の欧米諸国と比較すると、日本の精神科医は薬の量を多めに処方する傾向があり、問題となっています。

大きな理由としては、薬は効果がなければ足してみる、という考えをもった医師が多いことです。

また保険診療においても、多くの種類に薬を使っても保険適用される点も関係していると考えられます。

日本では、医療費が高額になってもクレームになることがほとんどない、という文化的傾向があることも関係しているでしょう。

日本の多剤大量療法の問題については、厚生労働省も改善する方向で取り組まれています。

抗精神病薬の量|多剤大量療法

定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬を、クロルプロマジン100mgに換算した量は次のようになります。投与量の合計が1日あたりクロルプロマジン1000mg以上になる場合は、多剤大量療法になります。

【定型抗精神病薬】※クロルプロマジン100mg換算量
ハロペリドール(セレネース)2mg
フルフェナジン(フルメジン)2mg
レボメプロマジン(ヒルナミン)100mg
スルピリド(ドグマチール)200mg

【非定型抗精神病薬】※クロルプロマジン100mg換算量
リスペリドン(リスパダール)1mg
ペロスピロン(ルーラン)8mg
ブロナンセリン(ロナセン)4mg
オランザピン(ジプレキサ)2.5mg
クエチアピン(セロクエル)66mg
クロザピン(クロザリル)50mg
アリピプラゾール(エビリファイ)4mg

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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