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ネット依存症の種類とタイプ、心理的傾向とは?
ネット依存症の患者さんにはさまざまな人がいます。
ネット依存症を理解するためにも、種類分け、タイプ分けが試みられています。
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ネットをする動機なや目的など、心理的な背景からのタイプ分けは主に3つあります。
ネット依存症のタイプ分けについて
なぜネットをするのか、何を得たいのか、期待しているのかは、人によって違います。
ネット依存症の患者の心理に注目した3つのタイプ分けを紹介します。
依存している本人が気づいていない心理もあります。
治療者だけでなく、本人や周囲の人がネット依存症を理解するためにも、ネット依存症のタイプを知っておくとよいでしょう。
キム教授によるネット依存症のタイプ分け
ネット依存が深刻な韓国で、研究や治療をおこなっている精神科医キム教授(Hyun-Soo Kim)は2種類の分類をしています。
動機づけによるネット依存症の分類
・ストレス解消
・達成感を得るために
・冒険を求めて
・人とのコミュニケーションを求めて
報酬に関するネット依存症の分類
・喜びを得たい
・人間関係を得たい(友達をつくりたい)
・お金を得たい
・社会的地位を得たい(アイデンティティ)
ヤングによるネット依存症のタイプ分け
アメリカのキンバリー・ヤングは、ネット依存症を5つに分類しています。(日本の事情とは少々違うところがあるようです)
サイバーセックス依存
ポルノサイトや性的なチャットにのめり込む。
人間関係依存
ネット上の人間関係にのめり込む。
ネット脅迫
とりつかれたようにネット上のギャンブル、ショッピング、株取引などにのめり込む。
情報収集過多
とりつかれたようにネットサーフィンやデータベース検索をおこなう。
コンピュータ依存
とりつかれたようにコンピュータゲーム(ネットゲーム)をおこなう。
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大野志郎らによるネット依存症のタイプ分け
日本では、大野志郎、橋元良明らが総務省の研究プロジェクトで2010年にネット依存症の調査をおこないました。
21人のネット依存傾向者にインタビューをして、サービスネット依存を3分類しています。
リアルタイム型ネット依存
チャットやネットゲームなど、利用者同士がリアルタイムにコミュニケーションをおこなうことを前提にしたサービスへの依存。
コミュニケーションを求めてネット利用を始め、睡眠や食事、日常生活を顧みないほど依存する。
依存としては最も重症になりやすい。
メッセージ型ネット依存
ブログ、掲示板、SNSへの書き込みやメール交換など、利用者同士がメッセージを交換しあうサービスへの依存。
リアルタイム型ネット依存と同様にコミュニケーションを求めて利用を始める。
メール交換や友人などの近況チェックに没頭し、睡眠や食事、日常生活を犠牲にするが、まだ現実をみている。
ネットに費やした時間をうしろめたく感じる。
コンテンツ型ネット依存
ネット上の記事や動画などのコンテンツなど、受信のみで成立する一方向サービスへの依存。
趣味などに関する情報を熱め、検索や閲覧に没頭するが、ネット上での人間関係はない。
そのため孤独感を強くする。
だらだらと使用を続け、無為な時間を過ごしたことを後悔する。
しかし、ネットをやめるきっかけに乏しく、依存から抜けにくい。
ネット依存症の心理傾向は?
2010年の総務省の研究プロジェクトでは、中学生に行った調査もあります。
結果からの心理傾向の分析によると、ネット依存者は依存になる以前から、孤独感や抑うつ感が高いことがあきらかになったとしています。
ネット依存になったから気分が落ち込むのか、もともとそうした心理傾向の人がネット依存しやすいのか、まだはっきりとはわかりません。
また、友人関係への満足度が低いほど依存傾向が増すこともみられ、なんらかのきっかけで友人関係が悪化したときに、ネットにハマりやすいと分析しています。
ネットと心の関係は、さらなる研究が必要です。
◆この記事は、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長、精神科医である樋口進先生執筆・監修「ネット依存症のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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