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統合失調症の犯罪率、犯罪者が多い?患者が事件を起こす確率は?

「統合失調症は犯罪率が高い」「統合失調症患者は犯罪を起こしやすい」など、精神障害者の犯罪リスクは高いものと、というのが一般的なイメージのようですが、果たして本当なのでしょうか。

最近では、「統合失調症などの精神障害者の犯罪率が高い、というのは嘘、デタラメ」という声も増えてきているように感じます。

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と聞くと、一般的なイメージとしては「危険・危ない・犯罪率やリスクが高い」といったマイナスイメージが強いようです。

というのも、統合失調症は、かつて精神分裂病と呼ばれていたこともあり、ネガティブなイメージがつきやすい傾向があります。

本当に統合失調症などの精神障害者の犯罪率は高いのか?精神疾患患者が犯罪事件を起こす確率は高いのか?気になったのでいろいろと調べてみました。

ということで、今回は、統合失調症も含む精神障害者の犯罪率、犯罪者の多さ、犯罪を犯す確率についてポイントをまとめてみたいと思います。

統合失調症など精神障害者の犯罪率は高い?犯罪者が多い?

統合失調症を含めた精神障害者に対して、社会一般が抱くイメージは「怖い」「犯罪率が高い」などのマイナスなイメージがつきまといがちです。

犯罪の統計データと統合失調症だけに焦点を絞ったデータが見つからなかったので、ここでは統合失調症を含む精神障害のデータを参考にしてみます。

まず最初に平成28年度版の犯罪白書から、警察庁の平成27年の統計データを調べてみました。

精神障害者等も含めた刑法犯検挙人員の総数は、239,355人。
精神障害者等(疑い含む)だと3,950人で、全体の1.7%の割合。

では、この「1.7%」の割合が高いのか、低いのか、について。

まず、国勢調査のデータによると、平成27年10月1日時点での日本の総人口は、127,094,745人。
精神障害者の人口は、約3,201,000人。
ですので、総人口に対する精神障害者の割合は、約2.5%になります。

総人口のうち精神障害者等の割合は約2.5%。
刑法犯検挙人員総数のうち精神障害者の割合は約1.7%。

こうして計算してみると、統合失調症などの精神障害者の犯罪者の割合は、精神障害者以外の「普通」「一般」といわれる人の割合よりも「低い」割合になります。

社会一般でいわれる「精神障害者は犯罪をおこしやすい」というイメージと逆の結果です。こうした結果から「精神障害者は犯罪をおこしやすい、というのはデマ」という意見も出てきているのではないかと考えられます。

精神障害者の犯罪率は高い?低い?

次は「犯罪率」の観点で計算してみます。

総人口から精神障害者数を差し引いた、精神障害者以外の人口は、約123,890,000人。
検挙人員総数から精神障害者等を差し引いた、精神障害者以外の刑法犯検挙人員は、235,405人。
この2つから、精神障害者以外の犯罪率を計算すると、約1,9%に。

それに対して、
精神障害者の人口は、約3,201,000人。
精神障害者等の刑法犯検挙人員は、3,950人。
この2つから、精神障害者等の犯罪率を計算すると、約1.2%に。

精神障害者以外のいわゆる普通の人の犯罪率は約1.9%。
精神障害者の犯罪率は約1.2%。

つまり、精神障害者よりも精神障害ではない大多数の人の方が犯罪率が高い、ということになります。

社会一般が持っている「精神障害者は犯罪率が高い」というイメージとはまったくの逆になります。

「精神障害者の犯罪率は高い」は、まったくの嘘なのか?

このように、ザックリとだが、警察庁の統計データ等をもとに、精神障害者の犯罪者割合、犯罪率を調べてみると、「精神障害者の犯罪率は高い」というのはまったくの嘘ではないか、となります。

たしかに、「犯罪」という大きな捉え方をするのであれば、嘘と言えるでしょう。とはいっても「真っ赤な嘘だ」とまで言い難いところもあります。

平成28年度の犯罪白書では次のように書かれていました。

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4-9-1-1表は,平成27年における精神障害者等(精神障害者及び精神障害の疑いのある者をいう。以下この節において同じ。)による刑法犯の検挙人員を罪名別に見たものである。罪名別の検挙人員は,窃盗が最も多く,次いで,傷害・暴行であった。窃盗は,精神障害者等の検挙人員3,950人の約4割を占めている。また,同年における刑法犯の検挙人員のうち,精神障害者等の比率は,1.7%であったが,罪名別で見ると,放火(20.3%)及び殺人(13.7%)において高かった。

刑法犯検挙人員総数という大きなくくりで数字をみれば、「精神障害者の方が犯罪者割合が低い・犯罪率も低い」となります。

ですが、ここでフォーカスしたいのは、罪名別での割合です。

それぞれの総人口に対して、
また放火の場合だと、精神障害者以外は約0.0003%、精神障害者は約0.003%。
精神障害者の方が約10倍高い割合になるのです。

殺人の場合だと、精神障害者以外は約0.0006%、精神障害者は約0.004%
精神障害者の方が約6.6倍高い割合になります。

他の罪名別の数字も参考に。

強盗
・精神障害者以外は約0.0015%
・精神障害者は約0.0021%

強姦/強制わいせつ
・精神障害者以外は約0.0028%
・精神障害者は約0.0021%

傷害/暴行
・精神障害者以外は約0.0376%
・精神障害者は約0.0295%。

脅迫
・精神障害者以外は0.0021約%
・精神障害者は約0.0034%。

窃盗
・精神障害者以外は約0.099%
・精神障害者は約0.047%。

詐欺
・精神障害者以外は約0.008%
・精神障害者は約0.005%。

このように数字を見てみると、殺人と放火に関して、精神障害者の割合が非常に高くなっていることがわかります。人の生命に関わるように重大な犯罪行為のリスクが高いと考えられます。

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精神障害者の再犯率について

ある研究家によると、措置入院になった精神障害者の再犯率は2つに分かれるそうです。DVなど家族に対する傷害事件の場合は再犯率が低く、それ以外で再犯率が高い傾向があるそうです。

犯罪行為までにはならなくても、統合失調症の患者が興奮状態になって家族に乱暴な態度をしたり、物を壊したりする行動は珍しいものではありません。

最近では、医療観察法という法律によって、重大事件を起こした精神傷害者には手厚い治療が実施されるようになり、再犯率の低下が期待されています。

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まとめ

「統合失調症を含めた精神障害者のが犯罪事件を起こす確率は高い」と言われていたり、逆に「精神障害者の犯罪率が高いというのは嘘」と言われていたりと、真反対の意見を耳にする機会があったので、いくつかのデータをもとにまとめてみた。

今回の考察からわかったことは、「放火や殺人などの重大犯罪の場合、精神障害者の割合が高くなる」が、全体の犯罪率や犯罪者数でみれば低くなる、ということと言える。

TVのニュースや新聞などで、「精神疾患の患者が重大事件を起こしたけど、病気だから無罪」「あの事件の犯人は統合失調症だった」などと大きく取り上げられやすい傾向があるのは事実だろう。

だからといって、「精神障害者=犯罪」と安易なイメージを持てばいい、ということではない。

さらに話を拡げるなら、かつて交通事故死者数が1万人を超えたとき「これは交通事故ではない!交通戦争だ!」と声をあげた人がいた。

年間自殺者数が3万人を下回ったというニュースがあったが、まだ依然として毎年3万人近い人が自らの命を絶っていく、というのが日本の現状である。そこに精神障害や精神疾患が関係しているケースも少なくない。

「精神障害・精神疾患だから」と目くじらを立てたり、見てみないふりをするのではなく、これからの社会をどう形作り、どう生きていくのか。今、私たちはその真っ只中にいるのだろう。

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