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境界性パーソナリティ障害は若い女性が多い?定義と診断基準
境界性パーソナリティ障害の姿について、数字や研究の面から見てみましょう。
ほとんどのケースでは、本人と主たる養育者(多くは母親)との結びつきが強いといわれています。
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ボーダーライン・境界例とも呼ばれる境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は、かつては神経症と精神疾患の中間(境界)の症状と考えられていました。
現在では、そのどちらとも関係がないことが分かっていますが、「境界」という名称だけが残ったのです。
「境界例」と略したり、英名の(Borderline Personality Disorder)から「ボーダーライン」と呼ばれることもあります。
境界性パーソナリティ障害の若い女性の患者が多い
境界性パーソナリティ障害は、診断基準が定まってきたのが1980年代と比較的最近のことです。
急増していて患者の数が多いこと、抱える問題が大きく周囲が巻き込まれやすいため、注目を集めているパーソナリティ障害です。
境界性パーソナリティ障害は、だいたい3対1の割合で女性に多く、年齢は20〜30歳代がピークといわれています。
うつ病と誤診されやすい境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害は、すべてのパーソナリティ障害のなかで最も患者数が多く、しかも増加している傾向があります。
また、気分の移り変わりが激しいことから、躁鬱病やうつ病と誤診されることも少なくありません。
境界性パーソナリティ障害は、決して珍しい障害ではないのです。
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境界性パーソナリティ障害の割合
アメリカの研究では、次のようなデータがあります。
【人口の中で境界性パーソナリティ障害の割合】
0.7〜2.0%
【精神科に通院している人のうち、境界性パーソナリティ障害の割合】
11〜34%
【精神科に入院している人のうち、境界性パーソナリティ障害の割合】
20〜60%
境界性パーソナリティ障害の定義・診断基準[DSM-Ⅳ-TR]
対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに治まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力
注:(5)で取り上げる自殺行為または自傷行為は含めない
(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動く不安定ではげしい対人関係
(3)同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感
(4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)
注:(5)で取り上げる自殺行為または自傷行為は含めない
(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為のくり返し
(6)顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上続くことはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらいら、不安)
(7)慢性的な空虚感
(8)不適切ではげしい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)
(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状
◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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