境界性パーソナリティ障害の診断の目安、分裂(スプリット)とは?

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境界性パーソナリティ障害の診断の目安、分裂(スプリット)とは?

境界性パーソナリティ障害は、分裂(スプリット)といって、自分の中に両極端の自分がいることも特徴です。

境界性パーソナリティ障害の人は、周りの人との関係も、あるといは親密に、あるときは嫌悪にと、極端に変わります。

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多重人格かと思うほどにコロコロ変わる

境界性パーソナリティ障害の患者さんの中には、「大人の自分」と「幼い自分」、「よい自分」と「悪い自分」の両極端な自分像があります。

普段は大人でよい人ですが、ふとした拍子に「悪い自分」「幼い自分」が出てきます。

境界性パーソナリティ障害の人はその変わり方が極端で激しいため、周囲の人は「まるで多重人格か」と思うほどに大変驚きます。

また、周囲の人への評価が一定しないことも特徴的です。

相手がいい人だと感じたときには、相手のすべてに信頼をよせますが、同じ人が少しでも批判的な態度だと思うと、とたんに「嫌な人」とみなし、「あなたのような人とは絶好だ」と拒絶したりします。

分裂した自分がいる境界性パーソナリティ障害

誰でも、良い部分と悪い部分がありますが、成長の過程でそれらは一体化します。

ところが、境界性パーソナリティ障害では、良い所と悪い所が別れたままになっていると考えられています。

また「見捨てられ不安」を抱えた子どもの部分も残っています。

良い子の自分

親から愛されている自分像で、自分に友好的な相手に向けられる、いわば真っ白なパーソナリティ。

悪い子の自分

良い子の自分から切り離された、親に愛されない自分応。悲しみ、苦しみを感じさせる相手に対して現れる、黒のパーソナリティ。

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年齢とともに成長した自分

幼い自分を切り離して、年相応に成長した自分像。

幼いまま不安を抱えている自分

「見捨てられ不安」をかかえたままの幼い自分が心の奥深くに取り残されている。

普段は隠されている

悪い子の自分、幼い自分は、普段は隠されています。

しかし、悲しみや苦しみを感じたときに、それに立ち向かうために悪い自分が出てきたり、幼い自分が触発されて、不安感が大きくなります。

境界性パーソナリティ障害は対人関係で問題が多い

健康な人は、自分も相手も、良い所も悪い所もある、いわば「灰色の状態」だと感じています。

しかし、境界性パーソナリティ障害の人は、自分が良い子(白)と悪い子(黒)に極端に分裂しているために、相手も「白か黒か」でしか捉えることができません。

態度がコロコロ変わる

相手の良い部分には「よい自分」で対応し、相手が自分に否定的になると「悪い自分」で対応するため、態度ががらりと変わります。

同じ相手でも、昨日はいい人、今日は最低な人といった具合に、そのときどきによって評価がコロコロ変わります。

周囲は驚きますが、本人はそのことにあまり疑問を感じません。

相手に受け入れられていると感じたとき

境界性パーソナリティ障害の人の良い子の部分が共鳴し、相手を「完全にいい人、すばらしい人」と全部肯定します。

いい人は信頼し、極端に依存する傾向が境界性パーソナリティ障害にはあります。

自分を受け入れてくれる相手には、全幅の信頼をよせ、おたれかかるようになります。

相手が否定的だと感じたとき

悪い子の部分が刺激され、「こんなひどい人は今まで会ったことがない」と拒絶の気持ちがわいてきます。

境界性パーソナリティ障害の人は、悪い人は憎み、攻撃する傾向があります。

「あなたとはもう会わない」と相手を拒絶したり、ケンカするなど攻撃します。

◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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