目次
パーソナリティ障害の入院治療について
パーソナリティ障害の治療で入院が必要になるケースは、境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害が大半です。
入院治療は、患者本人の問題行動が激しく、興奮が静まらないときや、健康状態に問題が生じたときが多くなります。
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症状をコントロールするための入院が多い
パーソナリティ障害の患者の自殺企図などの切迫した問題があったり、家族が対応しきれないため場合、入院して精神療法による治療がおこなわれるケースもあります。
また、患者本人が「入院してみたい」と自分から希望して入院治療になることもあります。
パーソナリティ障害の入院期間はどれくらい?
パーソナリティ障害の患者本人にとって、入院することで休息期間がとれることは大きな変化ですし、家族から物理的に離れて見知らぬ人と集団生活をする経験は、長い目で見るとプラスになることもあります。
パーソナリティ障害の入院による治療期間は、人によって様々ですが、2〜3週間の短期入院か、3ヶ月程度の中期入院が一般的です。
退院後は通院外来で治療を継続する
パーソナリティ障害の治療では、入院は一時的なもので、基本は通院による外来診療です。
自殺企図や自傷行為などの激しい症状が落ち着いたら、退院して外来診療にきりかえ、通院治療を続けます。
医療保護入院と任意入院はの違いについて
治療のためには入院が望ましいが、患者本人が入院に同意しない場合に、精神保健指定医の診断と保護者(あるいは市区町村長)の同意があれば入院させられる「医療保護入院」という仕組みがあります。
患者さん本人が同意して入院する「任意入院」は、患者本人の意志で退院できますが、医療保護入院の場合は患者の意志では退院できず、医師が退院時期を決めるという違いがあります。
救急から入院になることも
境界性パーソナリティ障害の場合、自傷行為や自殺企図による身体のケガや、周囲への暴力などによって、救急から入院がきまることも多くみられます。
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パーソナリティ障害の入院治療のポイント
入院の目的を医師と話し合い、きちんと向き合うことがパーソナリティ障害の入院治療の大きな目的のひとつです。
治療の主人公は患者自身
パーソナリティ障害による問題行動がはげしく、自分自身で感情や気持ちをコントロールできないときに入院すると、後から患者本人と「なぜ入院が必要なのか」ともめることがあります。
こうしたときは、パーソナリティ障害の治療は「される」「してもらうもの」ではなく、「自分で向き合う」ものだと患者本人に伝えましょう。
入院治療は一時的なもの
パーソナリティ障害の患者本人も、場合によっては家族も「入院すれば何とかなるかも」と思っている場合があります。
楽をするために入院するわけではありません。
入院に何かを期待しているなら、それを具体的な目的にする方がよいでしょう。
パーソナリティ障害の家族の対応
パーソナリティ障害の患者本人は、入院中も家族の対応には敏感です。
家族が注意する対応のポイントについてみてみましょう。
本人が退院させろとしきりに訴える場合
入院中のパーソナリティ障害の患者本人が「退院させて欲しい」と訴えることがよくあります。
退院時期は、本来は医師が決めるものです。
家族は「先生が決めるのがいいと思う」と伝えるようにしましょう。
患者本人が興奮て切迫している場合には、医師や看護師など病院のスタッフに相談しましょう。
もう少し入院を続けたいと求める場合
入院をいたずらに長引かせても、パーソナリティ障害の治療のためになりません。
困っていて休みたいなら、医師に伝え、家族が対応を学びましょう。
「ムダ」だったとは絶対に言わないこと
パーソナリティ障害の治療は、入院の場合も、通院の場合も、治療の効果がすぐにあらわれるわけではありません。
「ムダ」と言われると、患者本人は「見捨てられた」「どうせ私はダメだ」と追いつめられてしまいますので、家族は長い目で見守りましょう。
◆この記事は、市橋クリニック院長、精神保健指定医の市橋秀夫先生執筆・監修「パーソナリティ障害のことがよくわかる本(講談社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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