うつ病のような症状も多い統合失調症の陰性症状、誤診や併発も、違いは?

ID-100210227

うつ病のような症状も多い統合失調症の陰性症状、誤診や併発も、違いは?

統合失調症を発症すると、抑うつ気分、興味や監視の低下、イライラ、悲観的思考、マイナス思考、自殺願望、意欲低下、不眠など、の「抑うつ状態」がみられることも少なくないようです。

統合失調症では、こういったうつ病のような症状がみられるので、うつ病と疑われ誤診されることもあるみたいです。

スポンサーリンク

今回は、統合失調症とうつ病の違いについて書いてみたいと思います。

統合失調症にみられるうつ病に似た症状

うつ病やうつ状態の代表的な症状には次のようなものがあります。

・気分が落ち込む(抑うつ気分)
・何もしたくなくなる(抑制)
・マイナス思考が強くなり悲観的な考えにとらわれる
・イライラして落ち着かない(焦燥)
・死にたいと強く思う(自殺念慮)
・疲れやすい
・身体がだるい(倦怠感)
・食欲低下
・不眠症(睡眠障害)

こういった症状は、統合失調症の人にもあらわれ、うつ病と疑われることもよくあります。

統合失調症とうつ病の違いは

こういった抑うつ状態の後、幻覚や妄想などの陽性症状があらわれてくると、統合失調症と診断されます。

うつ病のような抑うつ症状は、統合失調症の興奮や幻覚、妄想がおさまった後の消耗期や再発する前にもよくみられる症状です。

ですので、統合失調症とうつ病の違いは「妄想や幻覚、幻聴があるか」というのが大きな違いといえます。

抑うつ症状は自殺に注意

うつ病のような抑うつ状態は、自殺の衝動に結びついてしまうことがあり、闘病器官が長い場合は自殺リスクを長期間にわたってかかえることになります。

スポンサーリンク

親や家族をはじめとするまわりの人は、統合失調症の患者の抑うつ状態を注意深く見守っていることが大切です。

不眠症、睡眠障害が多い統合失調症

また、統合失調症では不眠症などの睡眠障害もよく見られる症状です。

統合失調症の前駆期から寛解期までを通して、不眠(睡眠障害)の症状がでない人はいないといっていいほど多い症状です。

特に、統合失調症の発症直前から急性期に不眠症で悩む人が目立つようです。

途中で目が覚めてしまう「中途覚醒」が多くなり、そのせいで昼間に強い眠気を感じる「過眠傾向」があらわれやすいようです。

気分障害と統合失調症の関連性

うつ病は気分障害とも呼ばれ、気分障害には双極性障害(躁鬱病)もあります。

統合失調症と気分障害の関連性はまだ解明されていませんが、統合失調症の家族や親戚の中に、普通よりも多いうつ病や双極性障害の人がいることは、かなり前から知られていることです。

統合失調症とうつ病や双極性障害(躁鬱病)など気分障害は、何かしら体質的、遺伝的なつながりがあるのではないか、と考えられています。

まとめ

統合失調症とうつ病は共通点も多く、似ている症状も多いので、誤診されることもあるようです。

ですが、患者本人やその家族などと当事者にとっては、統合失調症か、気分障害か(うつ病/躁鬱病(双極性障害))、診断名をはっきりさせることはそこまで大切なことではありません。

統合失調症50%、うつ病50%の半々の割合というケースもあると考えるといいでしょう。

大切なことは、患者本人の症状に合った薬を服用し、適切な治療をすすめて、自立して生活できるように、そして再発を防ぐ関わりが重要なのです。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

スポンサーリンク