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統合失調症の前兆や兆候かも?不安・不眠・抑うつ症状の前駆期
統合失調症の患者さんのうち約75%の割合で「前駆期(ぜんくき)」という時期があることが研究で分かってきています。
この統合失調症の前駆期には、症状の前兆として、不眠・不安・抑うつ・焦燥などの症状や、軽度の幻覚や妄想などの症状があらわれます。
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今回は、統合失調症の前兆の症状がみられる「前駆期(ぜんくき)」について書いてみたいと思います。
統合失調症の前兆の症状があらわれる前駆期
統合失調症の経過は5つの時期に分けることができ、幻覚や幻聴、ひどい妄想などの陽性症状があらわれるのは急性期といいます。
この統合失調症の急性期の前の時期を「前駆期」といい、統合失調症の前兆として様々な精神の不調や症状があらわれます。
統合失調症を発症する前の前駆期の長さは、個人差があって機関が長かったり短かったりしますが、平均すると約5年間といわれています。
統合失調症の前兆の症状は?
統合失調症を発症する前の前駆期には、前兆の症状として、不安・不眠・抑うつなどのうつ病によく似ている症状があらわれることがあります。
また、やる気が出ない、意欲低下、自閉傾向などの陰性症状などがみられるケースもあります。
認知機能障害はこの前駆期の時期から徐々にあらわれるようになり、それとあわせて社会的機能の障害も起きるのが前駆期の時期です。
統合失調症の代表的な症状といえる幻覚や幻聴、妄想などの症状があらわれる前に、病気の兆候として様々な心の症状が現れるのです。
統合失調症の前駆期の年齢は?
統合失調症の陽性症状(幻覚・幻聴・妄想)があらわれる年齢は17〜25歳といわれています。
その前の5年間が前駆期になるので、統合失調症の患者の多くは思春期の頃に病気の前兆があらわれていると考えられます。
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例えば、学校の成績が下がる、無口になる、友達が減る、深夜まで起きている、睡眠時間が短くなる、不眠状態になる、といった症状も統合失調症の前兆のひとつといえます。
しかし、これらの症状は思春期によくあることと見逃されることも多く、また幻聴などがあったとしても家族に話したがらない場合も多いと思われます。
統合失調症の患者の親や家族は、「病気の兆候に気づいていれば」と後悔をすることも少なくありませんが、こういった兆候を統合失調症の症状を判断するのは専門家でも難しいといわれています。
統合失調症は早期発見・早期治療が望ましい
統合失調症の陽性症状(幻覚・幻聴・妄想)があらわれてから早い時期に治療をスタートすると、治療経過が良いことが多いようです。
また、陽性症状(幻覚・幻聴・妄想)が出る前の前駆期の時期に統合失調症を早期発見し、早期治療に取り組むことができると、統合失調症の発症を予防したり、重症化を防ぐことができるのでは、ともいわれています。
逆に、統合失調症を発症してから治療開始するまでの機関が長いほど、治療経過はあまりよくない傾向があります。
思春期において、不眠・不安・焦燥・抑うつ・意欲低下・自閉などの陰性症状に似ている症状や、様々な心の不調がみられる場合には、早めに病院を受診して医師に相談することが望まれます。
統合失調症の前駆期にみられる他の兆候
①思考干渉
自分の考えが他人から干渉されている気がする
②思考保続
同じことを何回も繰り返し考えてしまう
③自生思考
自分の意志とは関係なく、様々な思考が自動的に生まれてくる
④思考途絶
急に思考内容を忘れたり、考えが止まってしまう
⑤意味不明な言葉を言う
⑥関係念慮
どんなことでも何か自分に関係があるのではと考える
⑦現実感喪失
自分が自分で内容に感じる
⑧幻聴や錯聴(聞き間違い)
◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。
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