電気ショックで治る?統合失調症の治療方法「通電療法ECT」の効果や危険性は?

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電気ショックで治る?統合失調症の治療方法「通電療法ECT」の効果や危険性は?

統合失調症の症状を改善するための治療方法に「通電療法」という方法があります。

通電療法は、頭に軽い電流を流す治療方法のため、電気けいれん療法(ECT/electroconvulsive therapy)と呼ばれ、電気ショック療法といわれたりすることもあります。

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統合失調症の症状での重度なものを比較的短期間で改善する治療方法で、抗精神病薬などの薬物治療の効果がみられない場合に通電療法がおこなわれることがあります。

今回は、統合失調症の通電療法(電気ショック療法)のやり方や効果、副作用や危険性について書いてみたいと思います。

通電療法(電気けいれん療法/ECT)とは?

統合失調症の治療方法のひとつ「通電療法」は、患者の頭(脳)に100ボルトくらいの軽い電流を5秒から10秒間くらい流して、人工的にけいれん発作を起こす方法です。

電気を頭に流すことから、電気ショック療法や電気けいれん療法とも呼ばれ、イタリアで1938年に開発された治療方法になり、抗精神病薬がまだ誕生していない時代においては、統合失調症の中心的な治療方法でした。

英語では「Electroconvulsive Therapy」と呼び、頭文字をとって「ECT」と言われることこともあります。

通電療法(ECT/電気ショック療法)のやり方は?

通電療法(ECT/電気ショック療法)のやり方について、昔は患者の全身にけいれんを起こしていましたが、現在では手術室で全身麻酔をかけ麻酔科医が呼吸管理しながら筋弛緩薬でけいれんをおさえる「修正型通電療法(mECT)」がおこなわれます。

手術室がない病院では、古い方法で通電療法(ECT/電気ショック療法)を行う場合もあります。

通電療法(ECT/電気ショック療法)は、うつ病に抗鬱薬の効果が見られない場合や、強い自殺願望がある場合、食欲がなくて危険な状態にある患者に対して実施される治療方法です。

統合失調症の場合では、急性期症状が激しく、抗精神病薬の効果がみられない場合や緊張病性の興奮や昏迷状態となり、食事をしない、薬を飲まない場合、またうつ状態を併発して自殺の危険性が高い場合などにおいて、通電療法(ECT/電気ショック療法)がおこなわれることがあります。

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通電療法(ECT/電気ショック療法)は、通常は入院しておこなわれます。

通電療法(ECT/電気けいれん療法)の効果は?

通電療法(ECT/電気ショック療法)の効果は、一度実施しただけで病気に効果があるものではありません。

一般的には、1日に1回、週に2〜3回の合計6〜12回を1セットとして実施します。

通電療法(ECT/電気けいれん療法)による治療効果は一般的には有効性が高く、緊張病性の興奮や昏迷状態でも、劇的に治ってしまうケースも少なくないようです。

特に、修正型の無けいれん性の通電療法(mECT)は、抗精神病薬の服用にような副作用がないこともメリットといえます。

ですが、なぜ通電療法(ECT/電気けいれん療法)が統合失調症に効果があるのかについては、まだメカニズムが解明されていないのです。

通電療法(ECT/電気ショック療法)の副作用は?

通電療法(ECT/電気ショック療法)は、抗精神病薬のような強い副作用はありませんが、一時的に前後の記憶を失う「記憶障害」や、時間や場所がわからなくなる「見当障害」がみられることもあります。

ただ、記憶障害や見当障害の副作用はあくまでも一時的なものであって、1時間程度で回復し、ずっと記憶力や判断力に障害があるわけではありません。

手術室がない病院で通電療法(ECT/電気けいれん療法)を行った場合に、ごくまれにけいれん発作によって骨折してしまうケースもみられるようです。

通電療法(ECT/電気ショック療法)をおこなってはいけない状態は特にありませんが、電気を流しているときに血圧が上がることが多く、不整脈や脳卒中、心筋梗塞などの病歴がある人は注意が必要です。

通電療法(ECT/電気けいれん療法)で統合失調症が治る?再発率は?

統合失調症の症状は「通電療法(ECT/電気ショック療法)」で治るというものではありません。

数ヶ月で病気が再発することも少なくないため、通電療法(ECT・電気ショック療法)は、統合失調症を完治させるというよりも、激しい症状の急場をしのぐためのもの、といえます。

また、一般的な方法ではありませんが、通電療法(ECT/電気ショック療法)で良い効果があったので、その後も月に1回程度実施する「維持ECT」という治療方法もあります。

統合失調症の再発予防のためには、継続した薬物治療が必要です。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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