[統合失調症の治療]認知行動療法のポイントと留意点とは?

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[統合失調症の治療]認知行動療法のポイントと留意点とは?

統合失調症の有効な治療法のひとつとして、認知行動療法への関心が高まってきています。

認知行動療法は精神療法(心理療法)のひとつで、物事のとらえ方や受け止め方を変えて、問題解決へと導く方法です。

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認知行動療法とは?

認知行動療法は英語で「CBT(Cognitive Behavior Therapy)」といい、うつ病やパニック障害、強迫神経症などの精神疾患の治療に用いられる心理療法(精神療法)ん手法です。

様々な心の病気の治療方法として成果を上げていて、日本においても2011年から健康保険が適用されるようになり広く知られるようになってきています。

認知行動療法はどんな治療方法なのか、その内容について紹介したいと思います。

物事の受け止め方を変える「認知行動療法」のポイントと留意点について

人は誰でも物事を判断するときに客観的に考えているつもりでも、実際には自分の思い込みで偏った判断をしてしまうものです。

例えば、うつ病患者の場合、失敗してしまったときなど、何か出来事があったときの受け止め方や考え方はネガティブで悲観的な傾向が強いです。

「また失敗した」「もうダメだ」「ダメ人間だ」「何をやってもうまくいかない」と考えて落ち込んでしまい、ネガティブな感情が強くなると「生きていても仕方がない」「自分には価値がない」と思いつめて深刻になってしまうことも少なくありません。

失敗することは誰にでもあることなのですが、健康な人は少々失敗してもお味ことを繰り返さないようにそこから学んだり、次に備えて考えることができ、事態を悪化させないための行動をとることができます。

しかし、うつ病患者の場合、「失敗したらダメ」と決めつけて考えが偏りがちです。

いつも悪い方へ考えてしまい、失敗した時点でどうすればいいかわからなくなったり、できることがあるのにあきらめて問題から逃げ出したり、ひたすら自分のことを責め続けたりしてしまいます。

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そんなことを繰り返しているとさらに気持ちが落ち込んでしまいます。

認知行動療法では、こうしたときに専門家の指導のもと、物事の受け止め方・考え方を改善修正していく治療方法です。

現実を見つめなおして問題解決へと向かい、物事の見方を変えることで気持ちを切り替えるコントロールをトレーニングしていきます。

認知行動療法は統合失調症の治療に有効なのか?

海外の国、イギリスやアメリカなどでは、認知行動療法は統合失調症の治療にも効果がある有効な手法とされていて、治療ガイドラインでも推奨されている治療方法となっています。

特に統合失調症の前駆期に認知行動療法の治療をおこなうことで、統合失調症そのものの発症を防いだり、発病を遅らせることができる症例報告があります。

統合失調症患者の思考パターンには、少ない情報で出来事を間違って判断し、その判断を確信してしまったり、他人から攻撃されていると受け取りやすい傾向がみられます。

認知行動療法によって、統合失調症患者のそうした思考パターンを改善するためにトレーニングを繰り返していきます。

日本での認知行動療法による統合失調症の治療方法について

日本国内において、幻聴や妄想などの統合失調症の陽性症状がある場合、どのように対処するか、認知行動療法によって支援しようという試みがあります。

例えば、幻聴や妄想は、不安や心配、疲労や不眠などの状態がひどくなったときに誰にでもおこりうる症状であることを伝え、そうした状況を回避するように指導していきます。

また、幻聴で聞こえる「正体不明の声」を気にしないで生活する方法や、そうした声と仲良く過ごす対処方法などを身につけることで、統合失調症の症状の影響を受けすぎないように指導する方法もあります。

こうしたアプローチは、統合失調症の症状や障害とうまくつきあっていく上で、とても参考になります。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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