統合失調症患者の家族のコミュニケーション5つのポイント

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統合失調症患者の家族のコミュニケーション5つのポイント

統合失調症患者と家族のコミュニケーションは、病気の改善や症状の悪化につながることがあるのでとても大切です。

統合失調症患者本人の心を安定させて、病気を回復へと導いていくためには家族の接し方が深く関係しているのです

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統合失調症患者の家族のコミュニケーション5つのポイント

統合失調症患者に対する家族のコミュニケーションについて、次の5つのポイントが大切です。

①傾聴(話をよく聴く)
②受容(受けとめる)
③上手にお願い事をする
④否定的な感情をうまく伝える
⑤家族自身も自分を大切にして毎日楽しむこと

それぞれのポイントについて詳しくみていきましょう。

①傾聴(話をよく聴く)

統合失調症患者本人と家族のコミュニケーションにおいて、患者本人の話をよく聴く「傾聴」の姿勢は大切です。

「つらいことや嫌なことがあったけれど、人に話を聞いてもらっただけで気持ちが軽くなった」という経験は誰でもあるものです。

統合失調症患者の話にじっくりと耳を傾けて、ゆっくりと話を聞く家族の対応は本人の力になります。

また、ちゃんと自分の話を聞いてくれる相手に対して安心感や信頼感を抱くことにもつながります。

②受容(受け止める)

統合失調症患者のことを受容する接し方も病気の改善につながります。

本人の話を傾聴して聞きながら「それはつらかったね」「そういう気持ちなんだね」と統合失調症患者の言うことをしっかりと受け止めましょう。

幻聴や幻覚、妄想の話を聞くと「そんなことはない!」「錯覚、考えすぎ」と否定したくなるものですが、そうした家族の対応は統合失調症患者本人の心を閉ざしてしまうことにつながります。

「話を聞いてくれない、分かってくれない」と本人が感じてしまわないように、相手の主張や意見に対して否定することなく、受け止める受容コミュニケーションが大切です。

③上手にお願い事をする

統合失調症患者の多くは、自分に対して自信を持てなくなっています。

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自信回復を促すためにも、家庭の中で何か役割をまかせたり、できなかったことができるようになるために、家族は上手にお願い事をして、統合失調症本人ができることを少しずつ増やしてあげましょう。

あせる必要はありません。できそうなことから少しずつ始めることが大切です。

逆にそれができなかった場合には、統合失調症患者本人はさらに自信喪失してしまい、引きこもってしまうことがあるので注意しましょう。

④否定的な感情をうまく伝える

統合失調症患者の家族にとっては、相手が病気だと頭では理解していても、ストレスや不満がたまって怒りたくなることもあります。

統合失調症の陰性症状の時期は、一日中寝ていたり、ぼーっと何もしない本人の様子を見て「せめてこれくらいはしなさい!」と言いたくなることもあることでしょう。

しかし、統合失調症の患者本人を家族が怒ったり叱ったりする接し方はあまり良い影響を与えません。

本人は何かしたいけどできなくてつらい状態に、家族から叱られるともっと苦しくなってしまいます。

逆に過保護に何でもしてあげたり、本人の言いなりになる対応も、病気の回復妨げになりますし、家族のストレスがたまるだけです。

家族が否定的な感情を伝えたいときは、本人を傷つけないように、できるだけやわらかい言葉使いと表情で伝えることが大切です。

⑤統合失調症患者の家族も自分を大切にして毎日楽しむこと

統合失調症の家族SST(家族心理教育)では、家族がストレスをためないようにすることも重要なポイントとしています。

家族が身体的にも精神的にも健康な状態であることが、病気の改善にプラスになるのです。

家族が自分のことを犠牲にしてしまうと、身も心も疲れ果ててしまい、統合失調症患者本人に笑顔で接することができなくなります。

そんな家族の姿を見て、本人も「自分のせいだ」と責任を感じて自分のことを責めてしまうかもしれません。

家族自身も、仕事や趣味、友人関係など、自分の時間を大切にしながら、統合失調症患者本人をサポートしていくことが大切です。

家族が元気に健康であることは病気の回復にもつながるのです。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当サイト事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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