妊娠や出産はできない?統合失調症でも育児や子育てはできる?

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妊娠や出産はできない?統合失調症でも育児や子育てはできる?

統合失調症の人が女性の場合の、本人や家族としては「妊娠・出産・子育て・育児」についてです。

そこで今回は、統合失調症の人は妊娠や出産、育児や子育てができるのか?できないのか?をテーマにして書いてみたいと思います。

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統合失調症の女性は妊娠や出産できる?できない?

統合失調症などの精神障害を持っている人が子育てをすることについては、今でも社会的に強い偏見があるのが現状です。

しかし、親や家族など周りの人のサポートがあれば、統合失調症の女性であっても妊娠、出産は可能です。

統合失調症の女性が子供を産んで育てるにあたっては、まずは主治医とよく相談して、計画的に妊娠し、薬の種類や量を調整することが大切です。

妊娠や出産による統合失調症の再発リスクについては、妊娠初期よりも妊娠中期から出産後6ヶ月頃までが高くなるといわれています。

その大きな理由として考えられるのは、妊娠中はまわりの人がサポートすることが多くなり精神的に安定しやすいのに対して、出産後は育児ストレスが出てくるという心理的な要因です。

他にも、妊娠中に薬を減らしたり中断した影響が出やすい時期であって、妊娠中にエストロゲンなどの女性ホルモンが高くなるが出産後に急激に低くなることも精神的に不安定になるリスクといわれています。

妊娠中は通院回数を増やしたり、家族も細心の注意をもって見守るサポートが大切です。

赤ちゃんへの薬の影響は?

統合失調症の服薬の赤ちゃんへの影響については、はっきりとはわかっていません。

「薬の影響は問題なし」という意見もあったり、「問題あり」と考えている医師や研究者がいて、まだ統一されていないのが現状です。

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実際的には、服薬を中断することによる再発リスクと、服薬による胎児への影響リスクを比較して検討した上で、服薬を継続することが多いようです。

妊娠、出産の服薬については、主治医と十分に相談すること、産婦人科にも統合失調症の病気や服薬について伝えておくことが大切です。

ただ、授乳については、出産直後に薬の量が増えることが多いため、母乳は控えた方がよいとされています。

統合失調症は親から子供に遺伝する?しない?

統合失調症の人が子供を持つことについて、家族やまわりの人は「病気が遺伝しないのか?」「薬で赤ちゃんに悪影響がでるのでは?」と心配することが多いようです。

しかし、統合失調症が親から子供へと遺伝するリスクは約10%程度といわれていて決して高い数字ではありません。

統合失調症の人の子育てや育児について

統合失調症の本人が感じる不安は「出産後、子供をちゃんと育てることができるのか」ということの方が多いようです。

健康な人であっても、出産や育児ストレスで体調不良になったり、うつ状態になってしまうこともあります。

統合失調症の人の負担を軽くするためにも、パートナーや家族が育児をサポートすることが大切です。

また、子供が成長してくると、親の病気についてどのように伝えるか、という問題も生じてきます。

子供の発達段階の専門家の支援も必要になるので、主治医、助産師、精神保健福祉士などに相談するとよいでしょう。

母親が統合失調症の場合、病状が悪化して情緒不安定になったり入院することになり育児ができない、というケースもあります。

また、父親が仕事で忙しくて育児ができなかったり、離婚しているときなどは、児童相談所などに相談することも考えましょう。

◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。

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