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統合失調症|大学受験や入学、卒業後の就職について
統合失調症の発症時期は、大学受験や入学、卒業、就職などの環境が大きく変化する時期と重なるケースも多くみられます。
病気と上手に折り合いをつけながら、統合失調症患者本人にとってあまり強い精神的ストレスがかからないような進路を選ぶことが大切です。
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統合失調症による勉強への影響も
統合失調症の影響で認知機能が障害され、大学生や高校生では学校の成績が病気になる前に比べて下がってしまうことも少なくありません。
また、受験生の場合では、勉強がはかどらないとあせってしまい、そのあせりがストレスとなって治療の遅れにつながりかねないという問題も考えられます。
「勉強の効率が悪くなるので薬を飲みたくない」と言う例もありますが、服薬を中断すると病状はさらに悪化してしまい、学校生活そのものが難しくなってしまいます。
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大学受験や卒業、就職のストレスが統合失調症の再発のきっかけになることも
受験、卒業、就職へのプレッシャーが統合失調症の発症のきっかけになったのでは、と考えられるケースもあります。
家族から「もっと頑張ればいい大学に行けるのに」と期待をかけられたり、世間体を気にして「早く卒業しないと」と言われることは、本人には大きなストレスとなり病気の再発をするケースもあります。
統合失調症の人はストレスに弱い面があるため、まわりの人と同じペースで勉強や就職を考えるのではなく、本人にとって無理のないペースや方法で考えることが望まれます。
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家族が主治医や学校との連絡をサポートする
例えば、もう少し出席すれば卒業できるのに、という場合には少し無理をしてでも学校に行きたいと思い場合もあるでしょう。
ですが、治療を優先する主治医は「学校を休んで安静にしておくように」と言うこともあります。
本人が医師に対して学校に行きたい理由をうまく説明できない場合には、家族が医師に状況を説明するなどのサポートみ必要です。
また、学校との連絡や手続きにおいても必要に応じて家族が援助してあげるようにしましょう。
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高校や大学にはスクールカウンセラーや心理カウンセラーがいることもあるので、休学や留年を考えるときなどにアドバイスをもらうのもよいでしょう。
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統合失調症の進学について、大学や専門学校は?
大学などではたった1単位で進級や卒業が決まるので、統合失調症の人にとっては精神的プレッシャーがかかりやすいといえます。
ですが、逆に考えると、あと1単位を無理に取ろうとするのではなく、ゆっくりと休養できる時間を1年間とるという選択とも考えることができます。
他にも、通信制の大学や、専門学校から大学への編入などの方法もあります。
学校との連絡や情報収集を家族がサポートしながら、本人に無理のない、いろいろな可能性を探すとよいでしょう。
留年して卒業が遅れてしまうと就職に不利なのでは、と心配になる親も少なくありません。
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統合失調症患者の就職や仕事選びについて
統合失調症の人にとっては、他の人と同じようなペースで就職をすることは必ずしもよい選択とは言えません。
仕事を選ぶときにも、ストレスになりすぎない働き方を選ぶことも大切です。
将来自立した生活ができるように、本人のペースで働くことができる仕事を探すためにも、家族が長い目で見守ることが重要なのです。
本人が仕事をしたいという意欲があるのであれば、就労移行支援や就労継続支援などを利用するのもひとつの方法です。
地域活動支援センターや共同作業所で軽作業を体験してみるのもよいでしょう。
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◆この記事は、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第三部部長である功刀浩先生執筆・監修の「図解やさしくわかる統合失調症(ナツメ社)」の内容を元に、当事務局の心理カウンセラーが記事編集を行っています。
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