【発達障害の二次障害】反抗挑戦性障害と行為障害の診断基準について

【発達障害の二次障害】反抗挑戦性障害と行為障害の診断基準について

発達障害は二次障害を発症してしまうことも多く、放置しておくと二次的に別の障害や精神疾患を引き起こすことがあります。

早い時期に子どもの発達障害に気づき、ひとりひとりの特性にあった必要なサポートを行っていることが望ましいといえます。

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自信や自尊感情を失いやすい発達障害の子ども

ADHDやアスペルガー症候群など発達障害の子どもは、普通の子どもと違う特性がありますが、それが発達障害だということをなかなか理解してもらえません。

例えば、ADHDだと、不注意のために忘れ物が多かったり、集中できず授業内容が理解できないことを、「不真面目」「やる気がない」などと誤解されることもすくなくありません。

また、LD学習障害の場合、子ども本人は一生懸命努力していても、「努力不足」「努力が足りない」などと叱られたり、怒られてしまう体験が多くなりがちです。

まわりの大人(教師や親)が、子どもの発達障害の存在に気付かず、厳しい指導や叱責、非難を繰り返していると、発達障害の子どもは自信を失ってしまい、自尊感情も傷つき、自分を理解してくれない大人に対して反抗心や反発心を抱くようになってしまいます。

反抗挑戦性障害と行為障害【発達障害の二次障害】

発達障害のある子どもは、自分の要求が満たされないなど、日常生活の中でイライラやストレスがたまりすぎると、反抗心や反発心がつのり、反抗挑戦性障害を引き起こしやすくなります。

反抗挑戦性障害とは、大人の指示や要求に対して、わざと無視したり、逆らったり、大人をいらだたせることをしたり、挑発的な行動をとったりする状態のことです。

反抗挑戦性障害が悪化してエスカレートすると、暴力行為、破壊行為を起こしたりする、行為障害に発展してしまいます。

海外の調査によると、ADHDの約50%近くが反抗挑戦性障害を合併するようになるという報告があります。また、行為障害は、学童期のADHDの2〜4割、思春期のADHDの約4〜5割にみられるといわれています。

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反抗挑戦性障害の診断基準

少なくとも6ヶ月以上持続する、拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下の4つまたはそれ以上が存在する。

・しばしばかんしゃくを起こす
・しばしば大人と口論する
・しばしば大人の要求または規則に従うことを積極的に反抗または拒否する
・しばしば故意に他人をいらだたせる
・しばしば自分の失敗、無作法な振る舞いを他人のせいにする
・しばしば神経過敏または他人からイライラさせられやすい
・しばしば怒り、腹をたてる
・しばしば意地悪で執念深い

行為障害の診断基準

他社の基本的人権、または年齢相応の主要な社会規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式で、以下の基準の3つまたはそれ以上が過去12ヶ月の間に存在し、基準の少なくとも1つは過去6ヶ月の間に存在したことが明らかである。

【人や動物に対する攻撃性】
・しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する
・しばしば取っ組み合いの喧嘩をする
・他人に重大な身体的危害を与えるような武器を使用したことがある(例:バット、レンガ、割れたビン、ナイフ等)
・人に対して身体的に残酷であったことがある
・動物に対して身体的に残酷であったことがある
・被害者に面と向かって行う盗みをしたことがある(例:強盗、ひったくり、強奪など)
・性行為を強制したことがある

【所有物の破壊】
・重大な損害を与えるために故意に放火したことがある
・故意に他人の所有物を破壊したことがある

【嘘をつくことや窃盗】
・他人の住居、建造物または車に侵入雨したことがある
・物や好意を得たり、または義務をのがれるためにしばしば嘘をつく、だます
・被害者と面と向かうことなく、多少価値のある物品を盗んだことがある(万引き、偽造など)

【重大な規則違反】
・13歳未満で始まり、親の禁止にもかかわらず、しばしば夜遅く外出する
・親または親代りの人の家に住み、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回あった(または長期にわたって家に帰らないことが1回あった)
・13歳未満から始まり、しばしば学校をなまける

◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかる発達障害の子どもたち(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。

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