目次
【発達障害の対応】パニック症状への対処法・対策は?
発達障害の特徴のひとつに、パニックを起こしてしまうことがあります。
壁に自分の頭をゴンゴンぶつけたり、自分の顔を殴ったり、大声を出したり、泣きわめいたり、など発達障害の子どものパニック症状に対して、親や教師などまわりの大人はどのよに対応・対処すればよいのでしょうか。
スポンサーリンク
刺激せずに静かに見守る
発達障害の子どもがパニックを起こしたときの対応・対処法の基本は、パニック状態に陥っている本人を刺激しないこと、静かに見守ることです。
一般的には、パニック症状は数分程度から20分程度でおさまることが多く、そばで見ているだけでも大丈夫でしょう。
ぶつかってケガをする危険がある物や、近くに友達や兄弟などがいる場合には、いったん別の場所に移動させてひとりにさせる対応の有効です。
まわりの人が発達障害の子どもに声をかけると、さらに興奮してパニックになってしまう刺激になってしまう可能性もあります。
発達障害のパニック症状の具体例として、自分の頭をゴンゴンと壁に何度もぶつけたり、自分の顔を叩いたりなどの自傷行為がみられることがありますが、そういう場合には、無理にやめさせるのではなく、頭と壁の間にクッションやまくらをはさんだり、げんこつと顔の間に親の手をはさむなど、衝撃が小さくなるような対処法も有効です。
しばらくして、パニック状態が落ち着いたら「自分で落ち着くことができたね。えらいね。」とほめてあげることも大切な対応です。
押さえつけたり叱るのは逆効果
発達障害の子どものパニックは、自分の顔をなぐったり、壁や床に頭をぶつけたりする行為がみられることもあります。
「ケガをするからやめなさい」など大声で叱ったり、腕や身体を押さえつけて止めさせる、という対応は逆効果になってしまいます。
スポンサーリンク
発達障害の子どもがパニックになっている間は、できるだけ刺激せず、興奮させないようにしましょう。音や光、触られるなどの刺激がパニック状態を刺激してしまうこともあるので注意しましょう。
特に、自閉症スペクトラムの発達障害の子どもの場合、感覚過敏があるケースもあり、身体や頭に触れることを極端に嫌がる場合があります。
他人から触られると不快な気持ちになり、パニック状態が長引いてしまう場合もあります。
パニックは対処よりも予防すること
発達障害のパニックは「対処・対応」よりも「回避・予防」の方が大切です。
いったんパニックを起こしてしまうと、落ち着くまでに時間がかり、本人にとっても、まわりの人にとっても、かなりの精神的ストレスになってしまいます。
パニックを起こす前になんらかの対応や対策をすることで、パニックにならないように予防することが理想的です。
また、パニックを繰り返し起こしてしまうと、発達障害の子どもの心理状態が不安定になりやすく、またパニックを起こしてしまう悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
パニックにならないように未然に防ぎ、パニックの回数が減ると、精神状態も安定しやすくなり、パニックが起こりにくくなるのです。
発達障害の子のパニックを防ぐために
発達障害の子どもをよく観察すると、どんな状況やシチュエーションでパニックになりやすいか、が少しずつ分かってくると思います。
ある程度、パニックになりやすいきっかけや原因がわかってきたら、そうした状況をつくらないように配慮することが望まれます。
例えば、犬が吠える声や赤ちゃんの泣き声が苦手な発達障害の子どもの場合、そういった音が聞こえないような配慮が有効になります。近所から聞こえやすい環境であれば、できるだけ窓を閉めておくなどの対策をとりましょう。
また、強いこだわりがあって、スケジュールや予定の変更が苦手な場合には、勝手に家具の配置を変えたり、部屋の模様替えをしないように気をつけましょう。
どうしても予定変更の必要がある場合には、前もって説明し、時間をかけて本人に納得させることが大切です。
◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかる発達障害の子どもたち(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
スポンサーリンク