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発達障害は合併しやすい?割合や合併率は?【ADHD・LD・アスペルガー・自閉症】
ADHDやLD学習障害、アスペルガー症候群や自閉症などの発達障害は、お互いに特性を併せ持つ傾向があり、合併しやすいといわれています。
複数の発達障害を併発すると、様々な症状や特性があらわれるため、診断や対応が困難になりやすく、治療もより複雑になってしまいます。
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合併しやすい発達障害、合併率や割合は?
発達障害(ADHD・LD学習障害・アスペルガー症候群・自閉症)は、お互いに合併しやすいと言われています。
発達障害の合併率についての詳しい調査や研究は日本では実施されていませんが、発達障害の中でもADHDとLD学習障害は特に合併しやすいと言われています。
海外での研究報告によると、ADHD患者のうち約3分の1の割合でLD学習障害を合併していて、LD学習障害の患者のうち約30〜50%の割合でADHDを合併しているといわれています。
発達性協調運動障害との併発も多い
また、LD学習障害は発達性協調障害を併発しやすいことも知られています。発達性協調運動障害とは、手足などを別々に動かす運動がうまくできず、ぎこちない動作になってしまう障害のことです。
協調運動の具体例としては、なわとび、ボール運動(ボールを投げる、ドリブルなど)、自転車などがあります。
発達性協調運動障害は、身体の大きな動きだけでなく、手先の不器用さに現れることもあります。例えば、ボタンをとめる、ひもを結ぶ、ハサミなどの道具、楽器を演奏するなどの動作においても、不器用さやぎこちなさが目立つ場合があります。
アスペルガー症候群や高機能自閉症との合併は?
また、高機能自閉症やアスペルガー症候群と、ADHDやLD学習障害が合併するケースもあります。
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高機能自閉症やアスペルガー症候群とADHDの併発の場合には、より困難性の高い方(重症の方)の発達障害が優先され、診断の際には「高機能自閉症」or「アスペルガー症候群」と診断されることになります。
また、高機能自閉症やアスペルガー症候群と発達性協調運動障害が併発することもありますが、この場合も同じように「高機能自閉症」or「アスペルガー症候群」を優先して診断が行われます。
複数の発達障害の合併や併発がみられるケースでは、日常生活における子ども本人の困難さもそれだけ高くなってしまいます。
鑑別が難しいケースも多い
発達障害は、それぞれお互いに合併しやすく、また症状や特性も似ていて、鑑別が難しいことも少なくありません。
例えば、 ADHDとLD学習障害では、どちらも学習到達度が低下する傾向がみられます。しかし、その理由においては違いがあり、ADHDでは不注意や落ち着きのなさから授業に集中できず、授業内容が理解できないことが多いのですが、LD学習障害では、文字の読み書きにつまずく「読み書き障害」があって理解できないことが多いのです。
同じ「学習面に困難がある」という子どもであっても、ADHDなのか、LD学習障害なのか、あるいは両方の合併か、正確に見極めるためには時間がかかることも少なくありません。
トゥレット症候群とは?
トゥレット症候群とは、体や顔の一部が自分の意思とは関係なくピクッと動いたり、大きな声や汚い言葉を無意識に発してしまう症状が特徴的な障害です。
トゥレット症候群の発症率は、1万人に5人程度と低い発症率ですが、トゥレット症候群の患者のうち約50%の割合でADHDを合併するといわれています。一方、 ADHDからみると、トゥレット症候群との合併率は約7%程度とそこまで高くはありません。
トゥレット症候群にADHDが合併しやすい理由はまだ不明ですが、脳機能において共通する部分があるのではないか、と考えられています。
◆この記事は、お茶の水女子大学大学院教授である榊原洋一先生執筆・監修「図解よくわかる発達障害の子どもたち(ナツメ社)」の内容に基づいて、当サイト運営事務局の心理カウンセラーが記事編集をしています。
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